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患者は医師にウソをつく――虚偽の申告は費用負担増や誤診の危険性も

日本でも患者と医師の間の溝が浮き彫りに

 日本でもウソの実態調査がある。

 アンケート「あなたは、医師にウソをついたことがありますか?」(日経メディカル オンライン2011年2月17日公開)を見てみよう。

 アンケートの結果、「医師にウソをついたことがある患者は59.4%」で、「自分がついたウソは医師にばれないと思った患者は52.4%」だった。また、ウソが「ばれなかった」と回答した男性は約30%だが、女性は約75%にも上っている。

ウソの内容は「症状に関して思い当たる原因(36.4%)」「服薬状況(34.0%)」「飲酒・喫煙などの生活習慣(31.6%)」「受診時の症状(29.1%)」だった。

 しかし、患者のウソを見抜いている医師も多いようで、医師に対しての調査ではおよそ8割以上が「患者にウソをつかれたことがある」と回答している。

 一方、「医師にウソをつかれた(と感じた)ことがある患者は31.1%だった。

 別の調査も見よう。

 Qlifeは1,074人を対象に「医療者・患者間のコミュニケーション事情に関する調査」を実施した(調査時期:2010/01/22~ 2010/02/28)。

 その結果、医療者にウソをついたことがある患者は28%で、男性は5人に1人、女性は3人に1人、30-50代に多いことがわかった。一方で「医療者に対してウソをつくという発想自体がない」とする患者も少なくない。

 ウソの内容は「症状を実際よりも軽く/重く言う」、「服薬状況(きちんと飲んでいるフリなど)」、「生活習慣(喫煙など)」、「数値(体温や体重など)」、「原因の虚偽申告」だった。

 「男性に多いウソ」は症状や喫煙習慣に関するもので、「女性に多いウソ」は 服薬状況や食事内容、体重申告に関するものだった。

 「ウソをついた理由」は「恥ずかしい」「医師/看護師に怒られたくない」「費用を軽減したい」「保険適用を受けたい」「処方量を減らしたい/増やしたい」「治療を早く終わらせたい」などが目立つ。しかし、ウソをついたことにより費用負担が増えたり、最適な治療が受けられなかったりする人もおり、ウソを後悔している人も少なくないようだ。

 さて、こうして「患者のウソ」の実態を見ると、患者と医師のコミュニケーションの溝は深いと分かる。患者の羞恥心や恐怖心もまた深い。だが、希望を医師に率直に伝えれば、ウソをつかなくても解決策が提示される可能性もある。医師に話すのは難しければ看護師など他の医療者でもいい。「天に唾すれば我が身に降りかかる」とならないためにも、正直に話すことが大切だ。
(文=編集部)

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