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患者は医師にウソをつく――虚偽の申告は費用負担増や誤診の危険性も

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なぜ患者はウソをついてしまうのか?

「嘘つきは泥棒の始まり」と叩かれる。「嘘八百!」と笑われる。「噓から出たまこと」にホッと胸撫で下ろし、「嘘も方便だよ!」と弁解する。それが嘘に塗れた世間の習わしに見える。しかし、医療現場でも患者が医師にウソをつくことがあるようだ。この光景は、アメリカの人気テレビドラマ『Dr.HOUSE』でも描かれている。

 米ユタ大学のAngela Fagerlin氏らの研究チームは、「米国人の患者の80%は自分の健康状態に関わる重要な医学的情報を医師に伝えなかった経験がある」とする調査データを『JAMA Network Open』11月30日オンライン版に発表した。

ウソをつく最も多い理由は「医師から責められるのが嫌だから」

 発表によれば、Fagerlin氏らは平均年齢36歳の若年層のグループ(2,011人)と、平均年齢61歳の中高年層のグループ(2,499人)の計4,510人を対象に調査を行った。

 その結果、医師に情報を全て伝えていない人は若年層で81%、中高年層で61%と若年層の方が多かった。また、医師が勧める治療内容に賛同していない人は、若年層46%、中高年層31%と、こちらも若年層が多かった。

 Fagerlin氏は「医師の考えに賛同できない患者は処方された薬剤を指示通りに飲まなかったり、医師が勧めるフォローアップ検査を受けなかったりする可能性が高い」と指摘する。

 医師の指示内容を完全に理解できない(若年層32%、中高年層24%)、不健康な食生活を続けている(若年層24%、中高年層20%)、処方薬を指示通り服用していない(若年層22%、中高年層18%)、運動習慣がない(いずれも22%)、他人に処方された薬剤を服用している(若年層14%、中高年層9%)など不健康な習慣を報告しなかった患者も多い。

 また、情報を医師に告げない最大の理由は「医師から責められるのが嫌だから」だった(若年層82%、中高年層64%)。

 その他の理由は「自分の習慣がいかに悪いことなのかを聞かされるのが嫌だった」(若年層76%、中高年層61%)、「(ある事柄について)認めることが恥ずかしかった」(若年層61%、中高年層50%)、「厄介な患者だと思われたくなかった」(若年層51%、中高年層38%)、「医師に時間を取らせたくなかった」(若年層45%、中高年層36%)、「それほど重要なことだとは思わなかった」(若年層45%、中高年層36%)、「医師に自分が馬鹿だと思われたくなかった」(若年層38%、中高年層31%)、「医療記録に残るのが嫌だった」(若年層34%、中高年層31%)などであった。

 以上の結果から、Fagerlin氏は「多くの患者は、医師に全てを打ち明けているわけではないという事実に驚いた」と話す。

 米国家庭医学会会長で、アラスカ州バルディーズの家庭医であるJohn Cullen氏によれば、虫垂炎の手術直前になって、患者から虫垂炎様の症状をもたらすメタンフェタミンという薬剤を常用していた事実を初めて打ち明けられ、急遽手術を中止したことがあると語っている。

 このように必要な医学的情報を秘密にしたりウソをついたりすれば、患者自身の健康が大きく損なわれる恐れがあるのは明白だ。

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