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テレビは大スポンサーの「香害」に切り込むべき 柔軟剤や芳香剤による被害は受動喫煙と同じ

近隣の柔軟剤で体調不良になる人もいる

 日本消費者連盟は、2017年7月26日と8月1日の2日間、香りの害に苦しむ人からの相談窓口「香害110番」を開設しました。この2日間で寄せられた相談件数は電話65件、メール・FAX148件でした。また、国民生活センターによれば、柔軟仕上げ剤のにおいに関する相談件数が、この4~5年で急増しているといいます。

 相談窓口への訴えに共通するのは頭痛、吐き気、めまい、味覚障害などが持続して生活が困難になっているというもの。「隣人の洗濯で使用する柔軟剤で苦しんでいる。管理人を通して使用をやめてもらえるよう頼んだが埒が明かない」、「他人の柔軟剤の香りで息ができなくなり、吐き気もある。耳鼻科にいっても治療ができないといわれ、精神科に行きなさいといわれた」など、香害は個人の好みの問題とされる傾向が強いようです。

12歳以下の子どもの健康被害を真剣に考えるべき

 さらに報告で深刻なのは、小中学校、幼稚園でも「香害」が発生していることです。今、子どもでも男女を問わず、制汗剤を使うのは当たり前だといいます。制汗剤は合成ムスク類で強い香りを出したものがほとんどです。そのため、「教室中に匂いが広がって倒れそうになる」という声が、生徒だけでなく、学校職員からも「香害110番」に相談寄せられています。

 12歳以下の子どもは化学物質に対して感受性が高く、簡単にアレルギー反応を引き起こしてしまいます。合成ムスク類などの香り物質は目には見えませんが、揮発しやすい小さな分子です。空気中をただよい、鼻の奥にある嗅覚細胞に付着し、私たちはにおいを感じることができます。そして、その分子は呼吸によって体内に取り込まれ、また皮膚からも体内に吸収され、子供たちのぜんそくやアトピー、各種アレルギーなどに大きく関与しているのです。

 また、子どもの時から、合成ムスク類に曝されていけば蓄積量も多くなり、将来、健康被害を受ける可能性も否めません。

 香害は自分で使用していないのに被害を受けるという点では受動喫煙と同じです。タバコの害は広く知られていますが、香料の害はまだまだ認知されていません。日本消費者連盟などは、メーカーに人工香料対策を要請したほか、行政側にも病院、学校などの公共施設での人工香料の使用を自粛するよう全国各地で呼びかけています。

郡司和夫(ぐんじ・かずお)

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

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