チェーン店でも禁煙対応は店舗によってバラバラ(depositphotos.com)
先日、東京・阿佐ヶ谷の商店街を歩いていた際、通り過ぎ様に「全席禁煙・全60席」という看板に違和感を覚えて、わざわざ引き返して確認してしまった。というのも自分の記憶が定かであれば、そこは確かチェーン店の「ベローチェ」だったはずだから……。
折しもその前日、件の「ベローチェ」と「ルノアール」は、愛煙家の味方的な追い風で売り上げ好調。
なかでも前者の吉祥寺店に至っては「禁煙席」完備の表示ではなく、それが用意されていない点を告知するシールが店の入口に張り出しているとの記事を読んだばかりだったから「オヤッ!?」と立ち止まった次第。
どうやら同じベローチェ仲間でも、店ごとの喫煙/禁煙ルールはさまざま。都内104店舗中89の店舗で「喫煙可能」らしいが、「全席可の吉祥寺店」「全席禁の阿佐ヶ谷店」のような両極例もチェーンでありながら混在している。
一方、お盆休み中のがらんとした都内ファミレス店では、こんな体験をした――。
知人と2名(いずれも非喫煙者)で入店し、入口で「現在、禁煙タイムですがよろしいですか?」と丁寧に確認されて着席を。注文を済ませて会話していると、知人の怪訝そうな表情と同時に背後から明らかに紫煙のかおりが漂ってきて……。
振りむくまでもなく、われわれの直後に来店してきた中年夫婦と思しき会話も聞こえてきて、灰皿の不在を愚痴りつつ、今にも店員を呼ぼうとしている御様子だ。そこで一言、「禁煙タイムらしいですよ」と助言を送ると、「あれェ~、そうなのォ~」「この前と同じ時間帯なのに……変わったんだぁ。こりゃ、失礼」と喫煙御夫妻。
どうやら御夫妻の来店時に案内係が不在(説明なし)だったようだ。話はそれで済んだが、どうだろうか。6月に東京都の受動喫煙防止条例が、次いで7月に改正健康増進法が成立して初めての今夏、都内の随所でこれと似たような場面が展開された(されている)のではなかろうか。
チェ―ン内部でも不統一な禁煙対応
つまり冒頭のベローチェ話と次のファミレス事例では、「告知」と「口頭」の違いがあるわけだが、前掲のようなチェーン内部の不統一性や口頭対応の盲点はまんま、利用者(喫煙者/非喫煙者)間の混乱を生んでいるのは明らか。しかも、こうした街中の混乱光景は2020年の施行期まで日常茶飯事でくり返されるのではなかろうか。
たとえば、チェーン名称を伏せた下記の目隠しクイズ、あなたはそれぞれの受動喫煙対策ぶりの違いだけを読んで、そのブランド名を全問正解できるだろうか?
①全店舗(内)で「全面禁煙」を実施。イメージ的には禁煙カフェの象徴的な存在だが、意外や意外、外部(共用部やテラスなど)で喫煙できる一部店舗もある。
②「喫煙可能」な全ての店舗において、特殊な換気システムを導入した「密閉タイプの喫煙室」を完備。扉の開閉時も喫煙者の紫煙が外に出ないようになっている。
③新規開店組には「全面禁煙」を推奨しているが、「分煙か/全面禁煙か」の選択肢はFC加盟店のオーナー任せとなっている。
④喫煙可能店舗の6~7割で「分煙」が実施されている。しかし、徹底化はされていない。
⑤77の都内全店で「喫煙可能」である。
正解は上から、①「スターバックス」、②「タリーズ」、③「コメダ珈琲」、④「ドトールコーヒー」、⑤「ルノアール」の現況である。が、正直、こうして各ブランドの相違点を列挙されても、それを頭に叩き込んで喫茶店選びをする利用者が増えるようにも思えない。