便によるデトックスが圧倒的
そもそも、ヒトが汗をかくのは体温を下げるのが目的であり、老廃物や有害物質を排泄することではない。
体内でデトックスに重要な役割を果たすのは「腎臓」と「肝臓」だ。食事などで体内に取り込んだものは、腸で消化吸収された後に、肝臓で有害物質が分解され、腎臓で濾過されて、多用な方法で体外に排出される。
そして、さまざまな毒素や老廃物を排泄する割合は、各器官によって以下のようになっている。
●便=75% ●尿=20% ●汗=3% ●髪=1% ●爪=1%
ご覧のように「便」の占める割合が圧倒的に多い。「便」75%に対して「汗」の占める割合は3%と微々たるもの。ちなみに、体外から入った有害金属類は、「尿」に比べて「汗」のほうで多く排泄されるといわれる。それでも「便」に比べれば、ずっと排泄量は少ない。
つまりは「発汗」の恩恵に期待するよりも、日々の「快便」を心がけるほうが、私たちにとってはるかにデトックス効果が高いということだ。
発汗のストレス解消効果に期待
便秘になって大腸の中に長く便が留まってしまうと、大腸壁から水分が吸収される時に毒素も一緒に吸収されやすくなる。すると、せっかく排泄されようとしていた有害物質を、血液中に戻すことになる。
それを防ぐためにも、便通は、毎日、定期的にあることが重要だ。食物繊維や酵素の豊富な食品を摂り、適度な運動を心がけたい。
一方、「1日2リットルの水を飲む」というデトックス法が以前から人気だが、注意したいのは「水分摂取の適量には個人差がある」ことだ。水をたくさん飲んで排尿回数が増えても、肝臓や腎臓の処理能力が同じなら、尿が薄くなるだけで毒素の排出量は変わらない。
むしろ「大量の水を摂る」ことは、内臓に負担をかけ、冷えやむくみなどの原因になることもある。暑い日や運動の前後は早めに水分を摂りたいが、普段は喉が渇いた時に飲めば十分だろう。
もちろん、岩盤浴やスパで汗を流すことが無意味というわけではない。体を温め、血行を促進することで新陳代謝を活発にする。何より爽快にリフレッシュでき、現代人のストレス解消にはぴったりだ。
岩盤浴、サウナ、ヨガ、半身浴などによる発汗でのデトックスは微々たるものなので、あまり難しく考えずに「楽しむこと」が、それらの一番の活用法ではないだろうか。
(文=編集部)