タバコの化学物質でシックハウス症候群と同様の症状も
次に考えられるのが、無数の化学物質とのアレルギー反応による頭痛の誘発の可能性です。頭痛を誘発する化学物質として有名なのがシックハウス症候群です。
シックハウス症候群とは、住宅の高気密化などが進むに従って、建材等から発生する揮発性化学物質、石油ストーブ、ガスストーブ、タバコの煙などのなどによる室内空気汚染による健康影響が指摘されている疾患です。その症状は、目がチカチカする、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹などがある。人に与える影響は個人差が大きく、同じ部屋にいるのに、まったく影響を受けない人もいれば、敏感に反応する人もいます。
2000年前後から社会問題になったこの疾患は、新築の家などにホルムアルデヒドをはじめとする揮発性有機化合物が充満し、住みだした時から体の変調や頭痛を来すというものです。しかし、現在は法整備が進み、かなり改善されています。
しかし、タバコの煙が室内に充満することで、同様のことが起こる可能性があります。さらに大気汚染やPM2.5の増加による頭痛の報告もあります(注2)。ですから、自分の知らないうちに、タバコだけでなく他の化学物質に曝露して頭痛を来している可能性があることにも注意してください。
以上、タバコの煙に含まれる化学物質によって頭痛が誘発されることについて、ご理解いただけたと思います。現在、欧州や北米では、飲食店内でタバコを吸える国は少数なことから、日本の飲食店でも喫煙は制限されそうです。喫煙習慣がある人には、少し住みにくい世の中になっていますが、社会全体でルールを守って、頭痛を起こす方に配慮していただけると幸いです。
(文=西郷和真)
(注1)Tobacco, Nicotine, and Headache. Taylor FR. Headache. 2015 Jul-Aug;55(7):1028-44. Review.
(注2)Association between Fine Particulate Air Pollution and Daily Clinic Visits for Migraine in a Subtropical City: Taipei, Taiwan Chih-Cheng Chen, et al. Int J Environ Res Public Health. 2015: 4697–4708