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【シリーズ「これが病気の正体!」第12回】

【閲覧注意】胆嚢炎のなれの果て? 胆石で満ちた陶器のような胆嚢

長年の「胆嚢炎」のなれの果て(次頁にはグロテスクな画像が含まれます。閲覧にはご注意ください)

【閲覧注意】胆嚢炎のなれの果て? 胆石で満ちた陶器のような胆嚢の画像2
【閲覧注意】胆嚢炎のなれの果て? 胆石で満ちた陶器のような胆嚢の画像3

 70代女性にみられた「混合型胆石」と「陶器様胆嚢」だ。大小の小石のような黄色っぽい胆石が、胆嚢内を満たしている。胆嚢壁は卵の殻のように固く石灰化しており、まるで「陶器」のようにもみえる。

 これは「陶器様胆嚢」とよばれる「慢性胆嚢炎」の行き着いた最期の姿である。この胆嚢は、すでに胆汁の濃縮や分泌といった胆嚢固有の機能を失っている。そのため、胆嚢内の「石」が動いて症状を誘発することはない。

 実際、見た目の派手さに比べて、症状はあまりない。長年にわたる「胆嚢炎」のなれの果てなのだ。ただし、陶器様胆嚢に「胆嚢がん」ができることがある。「胆嚢がん」は女性に多い「タチのよくないがん」だ。ちなみに、がんの発生した胆嚢には、ほぼすべてのケースに胆石がある。

シリーズ「これが病気の“正体”!」バックナンバー

堤寛(つつみ・ゆたか)

つつみ病理相談所http://pathos223.com/所長。1976年、慶應義塾大学医学部卒、同大学大学院(病理系)修了。東海大学医学部に21年間在籍。2001〜2016年、藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。2017年4月~18年3月、はるひ呼吸器病院・病理診断科病理部長。「患者さんに顔のみえる病理医」をモットーに、病理の立場から積極的に情報を発信。患者会NPO法人ぴあサポートわかば会とともに、がん患者の自立を支援。趣味はオーボエ演奏。著書に『病理医があかす タチのいいがん』(双葉社)、『病院でもらう病気で死ぬな』(角川新書、電子書籍)『父たちの大東亜戦争』(幻冬舎ルネッサンス、電子書籍)、『完全病理学各論(全12巻)』(学際企画)、『患者さんに顔のみえる病理医からのメッセージ』(三恵社)『患者さんに顔のみえる病理医の独り言.メディカルエッセイ集①〜⑥』(三恵社、電子書籍)など。

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