多くの殺人が見逃されている可能性
劇中でも言っていましたが、日本の不自然死は約12%しか解剖されない事実は第4回コラム~でも書きましたが、色々な原因の中の一つには、法医学者が少ないという理由もあります。
実際、法医解剖をしても業績にもならず、時間がかかるわりにお金にはならず、感染症の危険もあります。解剖ばかりやっていると論文が書けなくなるので、昇進も見込めなり、最悪クビ?になる可能性もある、という感じでしょうか。
すると人が足りないので死亡時画像診断(Ai= Autopsy imaging)で振り分けるわけですが、ある先生のデーターでは、警察が犯罪性なしとしたご遺体の24%しかAiで死因が特定できなかったとか。やはりCTでは心筋梗塞、首絞め、毒殺などの死因の診断はできないからです。そうなると、いったい一年で何件の殺人が見逃されている可能性があるのでしょう?怖すぎます。
今回、アンナチュラルを見たことで、法医解剖・法医学について考える本当に良いきっかけになりました。
埋葬されていた中堂の恋人のご遺体を再解剖することで、犯人のDNAを検出することに成功しました。医療も日進月歩ですから医師の頭も常にアップデートしないといけませんが、科学検査・検出ツールも日々進歩しています。医療従事者もそれらのツールをうまく利用しない手はありません。インフルエンザ検査の迅速キットなど、毎年のように新しいものが発売されています。
10年前には不可能だったDNA検査方法で事件を解決することができる、というくだり、まさに病気の治療にも言えることですね。
DNA検出にはいくつかあります。PCR法とは、微小なDNAを増幅する方法ですが、その作用を阻害する物質が混在する場合には検出が難しくなります。ミコトが使用したという「ID Plus」は実際に新しく発売されたDNA検出キットのようで、これまで検出できなかったDNAが捕捉できるようになったわけです。