犬は「怖がっている人間」に噛みつく?(depositphotos.com)
昨年(2017年)10月、韓国の人気アイドルグループ「スーパージュニア(SUPER JUNIOR)」のメンバー、チェ・シウォンさんの愛犬のフレンチ・ブルドッグが、咬傷事件を起こし世間を騒がせた。
この犬に噛まれたのは、有名韓国料理店の代表の女性。足のすねを噛まれ、6日後に敗血症で亡くなった。一部の報道によると、マンションのエレベーター内で、犬は前触れなく、突然、噛みついたそうである。
犬が噛みつきなどの攻撃行動を見せる大半は、「優位性」や「支配性」からくるといわれている。犬は自分のテリトリーで、最も強気になれる。その領域に、ほかの犬や人など、見知らぬ者が侵入してくれば、本能として、その他者を排除しようと攻撃行動に出てしまうわけだ。
今回の事件の場合、住まいのあるマンションのエレベーターも、犬にとっては自分の領域だったのかもしれない……。
「神経質で不安を抱えやすい人」ほど噛まれやすい
その一方で、犬の攻撃行動は「不安」や「恐怖」からくる場合もある。
犬は慣れていないものに対して、不安や恐怖、嫌悪感を抱くものだ。少し怖がる程度なら、飼い主などが安心させることで「怖がる必要がない」と次第に学習していくものだが、育て方やそれまでの経験、あるいは遺伝的要素などによっては、過度に怖がりすぎて攻撃性に発展することがある。
犬の噛みつきの心理がどちらであったにせよ、「その犬を怖がる人間のほうが噛みつかれるリスクが高い」ことが、このほど電子版『Journal of Epidemiology and Community Health』(2月1日付)に調査発表された。
調査は、英リバプール大学の感染・グローバルヘルス研究所のカッリ・ウエストガース(Carri Westgarth)博士らが、英イングランド地方北西部の住民約700人を対象に、犬に咬まれた経験の有無などについて尋ね、対象者の性格検査も実施した。
その結果、「神経質で不安を抱えやすい人」ほど、犬に噛まれるリスクが高いことが示唆されたという。
性格検査は、10項目で構成された「TIPI(Ten Item Personality Inventory)」と呼ばれる尺度が用いられた。そして、情緒安定性/神経症傾向の評価スコアが1点上昇する(安定性が高まる)ごとに、犬に噛まれるリスクが23%低下する分析結果が得られたという。
つまり、「あまり神経質ではなく精神的に安定した人」のほうが、犬に噛まれにくいことが示唆された。