治療薬でも同じ薬剤を使用することが多い片頭痛とてんかん
国際頭痛分類では、「1.4.4 片頭痛前兆により誘発される痙攣発作 」に記載があり、「痙攣は頭痛の発作中または頭痛の発作後におこる。頭痛とてんかんは典型的な発作性脳疾患である。てんかん発作後には片頭痛様の頭痛が高頻度にみられるが、片頭痛発作中または片頭痛発作後に痙攣発作がおこることもある。このような現象は、時に片頭痛てんかん(Migralepsy)とも呼ばれる、稀な事象である。」という表現で記載されています。
このことからも、両者に共通点の多い病気がわかります。ちなみにMigralepsyという言葉は、片頭痛(Migraine)+てんかん(Epilepsy)をあわせた造語です。日本語でも2つの言葉を合わせて、新しい造語を作ることはよくあります。いままで知られている共通点を(表1)に示しました。
表1
次に、同じ患者さんが「片頭痛とてんかん」の両方の疾患を持っていることもよくあることです。図1のように、片頭痛とてんかんが共存するタイプ、独立して存在するタイプ、併存するタイプなど、小児、青年、成人、老年期などにさまざまに知られています。
図1
このように、一人の患者さんで、片頭痛とてんかんの両方の疾患を起こすケースが少なくないことが知られています。ただし、一般的な片頭痛の診断においては、脳波の記載はありませんし、脳波異常を来すこともないとされています。
最後に、治療について説明します。片頭痛には、トリプタンなど発作時の痛い時だけに使用する急性期治療と、頭痛発作を予防するために継続して毎日内服する慢性期の治療があります。
同様にてんかんにも発作を予防するために毎日内服する予防薬(抗てんかん薬)があります。片頭痛の予防薬では、抗てんかん薬を使用ことが多いという特徴もあります。このように、片頭痛とてんかんには治療薬においても同じ薬剤を使用することが多いという共通点があります。
今回は、「片頭痛とてんかん」における共通点について、着目してお話ししました。今後さらなる研究の進展で、「片頭痛とてんかん」における共通の機序や、原因の解明されることを期待したいと思います。片頭痛の予防薬である抗てんかん薬の一部は保険適応でない薬剤もあります。片頭痛の予防的治療には、主治医の先生や専門医に受診した上で、ご相談ください。