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手術中に10秒でがんを検出できる最新型のペン型診断装置を開発

術中迅速病理診断が必要なくなるのか?

 術中迅速病理診断とは、手術中に予測していなかった病変がある場合や切除する範囲を決めるなどの必要性が生じたときに、手術する医師が顕微鏡で見たい場所を切り出し、その検体が病理検査室に送られ急速冷凍される。その上で薄くスライスして固定されたのが「凍結切片」という標本だ。

 通常の検体を標本にする場合は、20時間以上 かかるといわれるが、この術中迅速病理診断のために作られる標本のためにかかるのは10分程度だ。顕微鏡で標本を確認した病理医が診断結果を手術室に伝えるという流れになるので、通常の病理診断に比べればはるかに早く結果が得られる。しかし、そのためには当然のことながら高い技術が必要とされ、患者と手術スタッフはその間待機しなければならない。

 さらにしっかりと固定しない材料を取り扱うため、標本を作製する検査技師などにとっては感染症の元となる病原体に暴露する危険性さえある。
 
 今回開発されたこの装置について、米ノースウェル・ヘルスがん研究所のGary Deutsch氏は「簡便さだけでなく、精度の面でも価値が高い」とコメント。「術中にがんではないと判断された組織が、後に陽性であることが判明し、追加の手術や治療が必要になるというケースを多くの外科医が経験している。手術室でこのような強力なテクノロジーを利用できれば、治療に大きな変革をもたらすだろう」と話している。

 研究グループは現在、来年からの臨床試験の開始を視野に入れ、装置を改良するため設計の調整を行っているという。なお、実用化の時期については「数年はかかる見込みだ」としている。
(文=編集部)

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