重い歯周病にかかった妊婦は、早産したり、低体重児を産むリスクが高まる!
「歯の浮くような見え透いた嘘」は嫌われる。「歯に衣着せぬ生々しい直言」は疎(うと)まれる。「奥歯に物が挟まった腹黒さ」は恨まれる。とかくに、「う蝕」と「歯周病」という2大疾患に侵される歯は、世間と噛み合いにくい。
歯周病の有病率は20歳代で約7割、30~50歳代は約8割、60歳代は約9割。何でも噛んで食べられる人は 75.2%(平成27年 国民健康・栄養調査)。歯科診療の年間医療費は2兆900億円(平成26年度 国民医療費の概況)。歯肉炎及び歯周疾患の総患者数は331万5000人(厚生労働省「平成26年患者調査の概況 」)。歯が20本以上ある人は72.8%(平成26年 国民健康・栄養調査)……。
どの数字を噛み締めても、歯が痛くなりそうだ。もっとも、歯も頭も痛いなのは、妊婦かもしれない――。
重い歯周病にかかった妊婦は、歯周組織が作り出す炎症物質のサイトカインが歯周ポケットから血液中に入り、子宮の収縮を促すため、早産や低体重児(出生時体重が2,500g未満の新生児)を産むリスクが高まるとする報告がある。
参考①:SUNSTAR Mouth & Body PLAZA「歯周病と早産による低体重児出産」
参考②歯周病予防研究会「歯周病と早産(低体重児出産)歯周病から守る予防歯科」
また、妊娠中は、う蝕や歯周病になりやすい。兎にも角にも、歯周病は怖い。がんや生活習慣病(糖尿病、肥満、動脈硬化など)との関連性を示唆するエビデンス(科学的根拠)が次々と積み重なっているからだ。
参考③:一般社団法人日本生活習慣病予防協会
参考④特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会
自分で行う歯の手入れはもちろん、歯科医師による定期的なチェックや歯石クリーニングを習慣づけよう。
(文=編集部)