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【連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第33回】

ギョウジャニンニクに酷似した「イヌサフラン」による食中毒で今年も死者が!

イヌサフランとギョウジャニンニクの判別は難しい

 ギョウジャニンニクは、葉を揉むとニンニク特有の強い臭いがあり、葉は通常1~2枚である。球根はラッキョウのような形をしており、やはり強い臭いを有する。

 それに対して、イヌサフランの葉には臭いがなく、葉は多数重なっている。球根は茶色の3~5cmの卵形で、ギョウジャニンニクとは明らかに異なる。しかし実際には、山菜取りなどで冷静にこれらを区別することは、極めて難しいのが現状である。

 イヌサフランによる食中毒を防ぐためにはどうしたらいいか?

①最も大切なのは、イヌサフランに関する形態およびその毒性を認識すること。無害の山菜の中にイヌサフランが混生していることがあるので、十分注意すること。採集後にギョウジャニンニクなどの食用植物と確実に判別できぬ時は、絶対に食べないこと。

②イヌサフランなどの観賞用の花壇と家庭菜園は同一の場所に作らないこと。

③生産者はギョウジャニンニクが混ざった植物を誤って出荷しないこと。集団食中毒発生の危険性がある。

④誤ってイヌサフランを誤食したことが疑われた際には、速やかに医療施設を受診すること。早期に胃洗浄などの処置を行うことによって、軽症で事なきを得ることがある。この中毒症は急激に症状の増悪を認め、死に至る危険性は極めて大きいことを認識すべきである。


連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」バックナンバー

横山隆(よこやま・たかし)

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリニカルトキシコロジスト、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。
1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長などをへて現職。
専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。
所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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