仮面高血圧は脳卒中・心筋梗塞リスクが3.86倍
この仮面高血圧とまったく真逆なのが「白衣高血圧」。診察室で測ると緊張して血圧が上がってしまう場合だ。血圧はその時々の体調や心理状態でも大きく変化する。白衣高血圧は緊張しやすい傾向があることが多く、すぐに疾患への関連性が問題視はされないが、仮面高血圧は注意が必要だ。
アメリカ・コロンビア大学のトーマス・ピッカリング教授の研究報告では、脳卒中や心筋梗塞などのリスクは正常血圧の人を1とした場合、慢性的な高血圧で2.94倍、仮面高血圧では3.86倍にもなっている。
早朝に血圧が高くなる「早朝高血圧」も仮面高血圧の一種と考えられている。朝に血圧を測ると高い数値となるが、病院で日中に図ると正常値になっている場合だ。やはり脳卒中や心筋梗塞になる危険性が高いといわれている。
早朝高血圧で特に、夜間の血圧は低く早朝に急上昇するタイプ<モーニングサージ>は、心疾患リスクが特に高くなる。自治医科大学の研究では、慢性的な高血圧のに加えモーニング・サージがあると、通常の高血圧患者より脳卒中のリスクが2.5倍も高くなるとされている。
では、仮面高血圧を発見するにはどうしたらいいのか?
答えはきわめて地味なだが、血圧を、毎日家庭で規則的に計測することだ。朝と夜の1日に朝と夜の2回。血圧は夜間に上昇することが多いため、朝晩に測定することで「仮面高血圧」を発見しやすくなる。
すでに高血圧の薬(降圧剤)を飲んでいる場合は、朝は起床後、薬を飲む前に。飲んでいない場合は起床後1時間以内に測るようにしたい。また、夜は就寝直前が理想だが、血圧は入浴やアルコールで下がるため、入浴や晩酌の前に測るほうがいい。
正常値の目安は、家庭で測る場合125/80mmHg未満。3カ月程度続けて測定し、135/85mmHgを超えるようであれば医師の診察が必要だろう。
家庭で毎日計るなんて面倒で難しいという人には「24時間ABPM(自由行動下血圧)測定検査」もある。携帯型の自動血圧計を取り付け、24時間の血圧を昼間は15分置き、夜間は30分置きに測定して、24時間の平均血圧を含め、詳細な血圧の評価を行える。保険診療で行うことができるので、専門医にこれも相談したほうがいい。
仮面高血圧は、高齢者だけでなく、40代以上でも増えている。仮面高血圧の仮面を剥げ!
(文=編集部)