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「ポケモンGO」死亡事故で実刑判決! ドライバーに「ながら運転は危険」の認識ナシ

「過失」ではなく「故意」ではないか?

 大ブレイクした「ポケモンGO」が配信開始されたのは2016年7月下旬。誰もが事前に予測していた、プレイ中の交通事故が最初に起きたのは、同年9月、京都・長岡京市内で移動クレーン車の運転手(48歳)が女性を跳ねて死亡させた。

 2017年1月の判決で、禁錮1年6か月・執行猶予5年の有罪判決を言い渡した際、京都地方裁判所は次のように見解した。

 「少なくとも、信号停止時には『ポケモンGO』をし、前方に車はいないだろうと過信して、事故を引き起こした責任は重大である」。加えて「被告は、死亡した女性の家族に謝罪し、車を二度と運転しないと誓っている」ことを判決理由にあげている。

 この判決に温情が過ぎると感じられる方も少なくないだろう。

「こんな運転手と一緒くたにされては堪らない」

 「ポケモンGO」の配信後、半年余りで全国で発生した関連事故・事件の数は優に50件を超えた。

 事故に繋がらなかったものの、両備バス関西カンパニー大阪支店(大阪府門真市)の男性運転手(41歳)が、観光バスを操りながら「ポケモンGO」をプレイする姿が投稿動画で発覚したという報道もあった。

 件の問題運転手の反省弁も「気の緩みからやってしまった」という、さながら一時停止違反への弁解レベルを示したものだった。

 しかし、当時の記事を改めて再読してみると、プレイ自体は乗客を大阪空港で降ろし、同支店に戻る際の回送状態下だった。だから構わないというのでは当然なく、要は動画自体が同社の関係者が仕組んで盗撮(および投稿)された可能性が高いという点にある。

 そこから読み取れるのは、問題運転手のこの悪しき常習性に対し、日頃から許しがたい思いや改善を促す気持ちを抱いていた身内(同僚)が社内にいたという背景だろう。

 盗撮・投稿にまで及んだ強硬手段の裏側には、「こんな運転手と一緒くたにされては堪らない」「われわれ観光バスの運転手という職業自体が印象を悪くする」などの憤懣やるかたない想いがあったと推測できる。

 こうした「ポケモンGO」関連の事故を鑑みて、愛知県は「ながらスマホ」の取り締まり強化や法改正による厳罰化を、法務省や国家公安委員会、内閣不に要請した。

 また、開発・運営の米ナイアンティック社とポケモン社は昨年11月、一定の速度以上での移動中は、ゲームの主要操作ができないよう(助手席も含む)に仕様変更した。

 最近では「ポケモンGO」に耽溺するプレイヤーの姿を見かける機会こそ減ったが、同様の危険な事故案件は、今後も熱狂的ソフトが登場するたびにくりかえされるだろう。ソフトに罪はなし、課題は「認識がなかった」という層へのモラル向上のほうにこそあるのだから。
(文=編集部)

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