精神疾患というマイナスをチャンスへ
そのイベントは「第13回精神障害者自立支援活動賞(リリー賞)」の授賞式だ。
認定NPO法人地域精神保健福祉機構が、日本イーライリリー株式会社の協賛で主催するこの賞は、毎年、精神障害の分野で優れた活動を行なっている当事者や支援者に与えられる。
過去の受賞者を見ると、精神疾患というマイナスを、むしろチャンスへと転化するような、当事者の多彩な活動が目を引く。
今年の受賞者もすでに決定済みだ――。
当事者部門では、精神障害の当事者のみで共同作業所を30年間運営するNPO法人精神障害者回復者クラブすみれ会(北海道)。および発達障害の当事者によるピアサポートを展開する一般社団法人UnBalance(アンバランス)(大阪府)の2団体。
支援者部門では、精神障害者の福祉事業所と18年間交流を続ける会津若松市立川南小学校(福島県)と、精神障害の当事者によるフットサルとバレーボールチームを結成する高槻精神害者スポーツクラブ、愛称「WEAREウィアー」(大阪府)となっている。
なお、同賞のプレゼンテーターは、母親の介護の体験を生かした執筆活動を精力的に行なっているフリーアナウンサーの町亞聖さんだ。
これらの活動が意義深いのは、精神疾患の当事者が自らの意志と意欲で活動を続けていることだろう。精神障害を抱えながらも、さまざまなことを成し遂げることができることを、リリー賞の受賞者たちは証明している。
一般企業でもこれからますます精神障害者の雇用が進んでいくことは間違いがなさそうだが、これらの受賞者たちの実例は、企業の人事担当者にとっても大いに参考になるに違いない。
(文=里中高志)