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【連載「Universal Jintai Japan(UJJ)=人体迷宮の旅」第7回】

人骨芸術で装飾されたセドレツ納骨堂「コストニツェ」〜チェコで体験する「骸骨教会」の真骨頂

あらゆる装飾を人骨で作り上げた徹底ぶりに不気味さを超えて感動

 カラスは16世紀のオスマン帝国との戦いのシンボルであり、トルコ人の左目を突くことで彼らに勝利したことを記念していることがわかる。さらに、これらの人骨芸術のすべてを手掛けた木彫家フランティシェク・リントの名も人骨で綴られ残されている。

 とにかく、あらゆる装飾を人骨を素材に作り上げた徹底ぶりには不気味さを超える感動が込み上げるのだ。

 その過剰さゆえにかなり古い時代に作られたものと思う人も多いかもしれないが、シュヴァルツェンベルク家がリントに納骨堂の改装を依頼したのは1870年。すでに19世紀には近代科学が定着し、人間の平等や個人の自由なども広く意識されるようになっていた。

人骨による装飾を伴う納骨堂は17世紀ローマの修道会から始まった

 人骨による装飾を伴う納骨堂は、17世紀のローマのカプチン修道会から始まったといわれる。その当時は死と肉体の腐敗に対する強迫観念というべきカトリックの宗教的な熱狂がグロテスクともいえる人骨装飾を誘発した。

 だが、19世紀における納骨堂の過剰装飾は宗教的な理由より芸術や文化と密接なロマン主義的な感性を反映するものとして登場した。それらは大衆にアピールするわかりやすいものとなった。

 そして、セドレツ納骨堂は、ある一族が廃院となった修道院を買い取り、宗教とは無関係な個人的な依頼によって作られたものであった。そういう意味でもセドレツ納骨堂は19世紀ならではの独特な成り立ちをしているのである。

ケロッピー前田(けろっぴー・まえだ)

身体改造ジャーナリスト。1965年、東京生まれ。千葉大学工学部卒後、白夜書房(コアマガジン)を経てフリーランスに。世界のアンダーグラウンドカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『ブブカ』『バースト』『タトゥー・バースト』(ともに白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。近年は、ハッカー、現代アート、陰謀論などのジャンルにおいても海外情報収集能力を駆使した執筆を展開している。著書『今を生き抜くための70年代オカルト』 (光文社新書) が話題に。近著に『CRAZY TRIP 今を生き抜くための“最果て"世界の旅』(三才ブックス)がある。

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