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【連載「Universal Jintai Japan(UJJ)=人体迷宮の旅」第7回】

人骨芸術で装飾されたセドレツ納骨堂「コストニツェ」〜チェコで体験する「骸骨教会」の真骨頂

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世界一の人骨芸術と謳われるセドレツ納骨堂(http://jp.depositphotos.com)

 世界のカタコンベのなかでも最も有名かつ絶大な人気を誇っているのが、前回ご紹介したカタコンブ・ド・パリであるなら、それと双璧をなすスカル・チャーチ(骸骨教会)の真骨頂といえるのが、チェコのクトナー・ホラにあるセドレツ納骨堂「コストニツェ(チェコ語で「納骨堂」を意味する)」である。

 首都プラハから電車で約1時間でクトナー・ホラ駅に到着する。駅から世界遺産になっている聖マリア聖堂セドレツ納骨堂まで徒歩15分程度。その聖堂の敷地周辺がセドレツ墓地となっており、その敷地内の全聖人教会地下に納骨堂がある。この駅で降りて墓地に向かう人たちのほとんどすべてがこの世界有数の納骨堂を見たいと遠方から訪ねてきた観光客である。
  
 カタコンブ・ド・パリが約600万人もの遺体を収めて世界一の規模を誇っているのに対し、チェコのセドレツ納骨堂は約4万人の人骨を収め、そのうちの約1万体を使って作り上げた人骨芸術が建物内を埋め尽くしているのが凄い。あらゆる技巧を凝らし、その徹底したこだわりには圧倒されるばかりである。

 地下納骨堂の中心となる大きな広間は一辺77メートルの正方形で、四方に骨のピラミッドと呼ばれる巨大な骨塚がそびえ立ち、見上げれば天井からも無数の骨が吊るされている。中央には8脚のシャンデリアが飾られ、それらは大きさ2.5メートル、人のあらゆる骨を余す事なく使って組み上げられたという。

 その下には、4つの小尖塔にそれぞれ22個の頭蓋骨がつけられ、柱や壁には頭蓋と上腕骨で作られた花環装飾が施され、見渡す限り骨の過剰装飾が充満している。

 さらにこの教会の後見人であったシュヴァルツェンベルク家紋章も人骨を使って再現され、そこには人骨で造形されたカラスが頭蓋骨の左目を突いている。

ケロッピー前田(けろっぴー・まえだ)

身体改造ジャーナリスト。1965年、東京生まれ。千葉大学工学部卒後、白夜書房(コアマガジン)を経てフリーランスに。世界のアンダーグラウンドカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『ブブカ』『バースト』『タトゥー・バースト』(ともに白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。近年は、ハッカー、現代アート、陰謀論などのジャンルにおいても海外情報収集能力を駆使した執筆を展開している。著書『今を生き抜くための70年代オカルト』 (光文社新書) が話題に。近著に『CRAZY TRIP 今を生き抜くための“最果て"世界の旅』(三才ブックス)がある。

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