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【連載「死の真実が〈生〉を処方する」第32回】

若者たちの「性感染症」の氾濫の実態〜教育と啓発が、自らを守り他人への感染も防ぐ!

症状があれば早く検査や治療

 STDに罹っているかどうかは、まず症状で疑います。男性では排尿時に膿が出る、痛みがある、亀頭がただれる、精巣が腫れるなど。女性ではおりものが黄色く多い、外陰部にいぼや潰瘍がある、痛み、かゆみ、腫れがあるなどです。

 もちろん症状に乏しいこともありますが、他人に感染させる前にただちに医療機関を受診して治療を行うことが重要です。

 やはりデリケートな場所の病気ですから、恥ずかしがって受診しない人もいます。しかし、治療しなければ治りません。近年では、医療機関を受診しなくても感染の有無を確認できるキットが販売されており、誰でも購入できます。血液またはうがい液などを利用して検査をすることができます。

自らと他人への感染予防

 STDは性行為によって感染する病気ですから、感染者に接触する機会を減らせば、危険性は低下します。すなわち不特定多数の人と性交渉経験がある人や、STDにかかっている疑いがある人との接触を避けることが重要です。また、コンドームの使用により直接の接触を防げば、比較的安全になります。

 口と肛門との接触がある行為の際に、A型肝炎や赤痢などの感染症に罹患することがあることも知っておいてください。

 若い人をはじめ、STDに関する知識不足の人が多いことは否めません。自らの感染を防ぎ、他人へ感染させないように配慮すること、その教育と啓発が必要です。

 厚生労働省が近年に作成した、STDに関するポスターの標語を紹介しましょう。

 平成27年は美少女戦士セーラームーンをモデルに話題を呼んだ「検査しないとおしおきよ!」、26年は「あなたが感染すれば大切なパートナーも感染します 性感染症」、25年は「性感染症、相手が増えればリスクも増える」、24年は「オーラルでもうつります、性感染症」。この通り、若い人に啓発しませんか。


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一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)
滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立医科大学客員教授、東京都市大学客員教授。厚生労働省死体解剖資格認定医、日本法医学会指導医・認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(副会長)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)、日本バイオレオロジー学会(理事)、日本医学英語教育学会(副理事長)など。
連載「死の真実が"生"を処方する」バックナンバー

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