頭蓋骨骨折と急性硬膜外血腫が認めら緊急手術
翌日の早朝、この患者の反応がおかしいということで、救急車で再度搬入された。奥さんに話を聞くと、帰宅後はすぐに就寝したが、朝になっても起きてこないので起こしにいくと反応がおかしいため救急車を呼んだとのことである。救急搬入時、患者の意識レベルは昏睡で、至急で頭部単純レントゲンと頭部CTを撮ると、頭蓋骨骨折と急性硬膜外血腫が認められた。患者はそのまま緊急手術となった。
奥さんはERドクターに夜中と同様に「すいません」と言いながら何度も頭を下げていたが、ERドクターもこの経過に対して責任を痛感していた。
後の祭りではあるが、急性アルコール中毒による頭部打撲は、鎮静してでも(眠らせてでも)頭の検査(頭部単純レントゲン、頭部CT)を行わなければならなかったのである。理屈では分かっていながら現実的にできなかったことが悔やまれる一瞬である。