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忘年会シーズン直前!「休肝日」は政府による造語だった~その意味、何日、適量、効果は?

2日間の禁酒は意外とツラい?

 ただ、どんな警告も聞き入れない飲兵衛派はいうに及ばず、発泡酒1缶を毎晩程度の適量派にとっても「毎週2日間」の断酒を義務づけられたら、素直には受け入れがたいもの。それこそ、前者ならずとも「休肝日の科学的根拠(エビデンス)は薄い」と語る医者陣のジャッジを支持したくなる。

 が、どうやら毎晩の飲酒でも適量の嗜み(日本酒換算で1合以内)であれば、休肝日を設ける必要なしというのが諸説の結論のようだ。毎日の場合、アルコール肝硬変のリスクは「3~4日の人より3倍超」などの記述を読むとドキッとするが、要は「何事もほどほど」の部類だろう。

 そう胸を撫でおろしたら、今度は国連機関調査による盲点というか、想定外の新たな知見が目に飛び込んできた。パリで開催された世界がん会議(World Cancer Congress)の席上で発表された予備報告書の内容は、それこそ日本発「休肝日」の有意性を後押しするものかもしれない。

 同調査によれば、2012年に飲酒が原因で発生した新規がん患者の数は世界で70万人超、がん関連の死者も約36万6000人に上り、その大半を富裕諸国が占めたそうだ。

 つまり、飲酒による発症リスクは何も肝臓だけの問題ではなくがんまでも……であるならば、「休肝日」という秀逸な(?)造語でさえもがやがては死語と化すかもしれない知見である。

 休肝日が気になり、休肝日の認識を深め、(自分レベルでは)休肝日の必要なしと知る――それで一件落着と思った途端、道をふさぐように表われた飲酒=がんリスク説。なんだか、ふりだしに戻された気持ちがぬぐえない。

 折しも忘年会に向けて幹事諸君が会場取りに東西奔走する季節。「休肝日」の疑問がふりだしに戻された以上、酒断ちをめぐるあるある話も含め、時節ネタとしてこの問題をもう少し追ってみよう。 
(文=編集部)

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