政府は「週に2日の休肝日」と謳ってきたが……(shutterstock.com)
ヒトは禁じられると、途端に我慢できなくなったり、諦めきれなくなったりする生きものだ。
たとえば、定期検診前々日からの禁止条件、10時間前からの飲食禁止、さらに24時間早い「断酒」は妙にノドの渇きを覚えさせる。
毎日1缶の晩酌程度の適量派でも、「断酒」を義務づけられた途端、無性に呑みたくなるから不思議だ。
この渇きがもし、連日の飲酒習慣から生じる軽度なアル中の兆候だとするならば……。ふだんは気にもかけない事柄が、妙に気になったりもする。嗜む程度の飲酒派ならば、敢えて肝臓を休ませる必要はないのだろうか!?
知ってるつもりの「休肝日」とは?
耳慣れているぶん、知っているつもりでも(そのじつ、認識も曖昧で)実践はしていない「休肝日」の三文字が気になりだしたりする。
まずはその語源というか、皆が知らず知らずのうちに口にしている「休肝日」が、お役人発の啓発用語だったという事実をご存知だろうか?
あれはそもそもが行政による造語である。厚生労働省の指針は「週に2日は休肝日を作りましょう」と謳ってきたが、元来は日々の飲酒量がつい適量越えしてしまいがちな人々や、毎日飲まずにはいられない方々に向けての政策標語が源流だった。
通常、1日5合以上の酒類を1週間飲み続けると、肝臓の細胞内の脂肪量(脂肪肝)が増加する現象が確実に起きるとされる。また、適量の飲酒は「百薬の長」と呼ばれて死亡率を下げる効果につながるが、一週間の総摂取量が300g超だと一転して死亡率が上がるとするデータもある。
300gを種別量に直せば、「日本酒2合」「ビール2本(中瓶)」「チューハイ3缶」「ワインボトル半分」「ウイスキーロック(ダブル)2杯」という塩梅となる。
が、これを「7日間でたった中瓶2本分のビールだけなんて……少な過ぎない!?」と考えてはいけない。300gを「7日間-2日間(休肝日)=5日間」で割らないと話が進まないのだ。