いっそ適職探しに利用してみては?
個人のデータが管理され、その個人が将来的に起こす行動までコンピューターに予測されてしまうというのは、まるでSF映画『マイノリティ・レポート』を想起させるようで、何やら背筋が寒くなる。
だが、技術の進歩には何者も抗うことができないのは文明社会の定め。本当に個人データから仕事に対する定着度が明らかになるのなら、「退職という出口」よりも、「就職という入口」にもっと活用してみてはどうだろう。
ハローワークの職員すら非正規雇用でブラック化していると言われる現在、適性のない仕事に就いてしまう雇用のミスマッチングで、多くの経済的・人的ロスが生じている。膨大な求人データから、自分に合い、かつ採用される可能性がありそうな職場を選ぶのもひと苦労だ。
いっそ日本人の職歴のデータベースを作り、その人に適した求人をマッチングしてくれるシステムが完成したら、そのときこそ真に人間の役に立つプログラムが実現したと言えるかもしれない。
もちろん、その職業を選ぶかどうかは本人次第だが、いわゆる「雇用のミスマッチ」の解消につながるのではないか?
そして行き着く果ては、プログラムが人間の職業を決めてしまい、人間はそれに逆らえない時代が到来するのかもしれない……。そのときこそ、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』を嚆矢に、過去に様々なSFで描かれてきたコンピューターによる「管理社会」が現実のものとなるのだろうか。
(文=編集部)