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【シリーズ「子どもには絶対に使ってはいけない生活用品」第22回】

米FDAが抗菌石鹸を販売禁止に! いわゆる「経皮毒」に注意すべき?

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米FDAが抗菌石鹸を販売禁止に!(shutterstock.com)

 9月2日、米国FDA(食品医薬品局)は、「トリクロサン」や「トリクロカルバン」などの入った抗菌石鹸(日本では薬用石鹸として販売)の販売を禁止すると発表した(薬用石鹸に殺菌効果ナシ!? 米国では販売禁止、日本でも「トリクロサン」の実態調査へ)。

 トリクロサンとトリクロカルバンは、殺菌成分として使われている化学物質で、ハンドソープや固形石鹸、ボディソープのほか、化粧品、歯磨き粉などに幅広く使われている。

 FDAが抗菌石鹸の使用禁止に踏み切った理由は、「抗菌石鹸は、普通の石鹸より細菌の繁殖を防ぐ効果が高いと考えられがちだが、そのような科学的根拠は得られなかった。

 一部のデータでは、長期的に使用すると、殺菌成分が人体に害を及ぼす可能性がある」(9月3日付け日経新聞オンライン版)というものだ。要するに、抗菌石鹸は「百害あって一利なし」「有害無益」というわけだ。

 このFDAの決定は、消費者への「経皮毒」に細心の注意が必要との警告でもある。

「皮膚からの吸収あり」と指摘されている危険な化学物質

 私たちが使う日用品には、様々な化学物質が配合されている。その中には、発がん性、アレルギーを引き起こすもの、環境ホルモン作用が確認されているものが数多くある。

 しかし、食べ物ではないから問題ない、あるいは、人に影響が出ない量や濃度だから問題ないとして、使用されているものが少なくない。それらには、有害化学物質の「経皮吸収」がまったく考慮されていないからだ。

 独立行政法人・国立医薬品食品衛生研究所の「国際化学物質安全性カード」のリストにも「皮膚からの吸収あり」と指摘されている危険な化学物質が多くある。

 かつて皮膚や粘膜から有毒性のある化学物質が吸収されることを、竹内久米司と稲津教久の両薬学博士は「経皮毒」と名付けた。

 彼らの共著『経皮毒――皮膚から、あなたの体は冒されている!』(日東書院本社)によると、皮膚から有害物質が吸収されると、食べ物と一緒に経口吸収された場合と違って、肝臓で解毒されることなく体内に蓄積されていく可能性が高いという。

 そして、皮膚から吸収された化学物質の一部は、皮下組織にそのまま貯留し、その後、徐々に皮下組織から血液に移動し、長期間にわたって少しずつ排泄されていくことが確認されていると両薬学博士は指摘している。

 このように代謝に時間がかかるのが「経皮毒」だとされた。代謝に時間がかかるということは、有害物質を使用している限り、毎日少しずつ蓄積していくということだ。最初はなんの健康上の異変は起きない。

 だが、いつかは耐えられる限度に近づくはずだ。それが明日なのか、10年後なのか、20年後なのかは、これまでどの有害化学物質がどの程度蓄積しているかによる。

 30代や40代になって突然、花粉症やアトピー性皮膚炎になったというケースが目立ってきているが、化学物質の体内蓄積増加で免疫機能が働かくなったためだとも言われている。

郡司和夫(ぐんじ・かずお)

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

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