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【連載「国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか?」第17回】

「ボルタレン」を効果的に使うコツとは? 「ぎっくり腰」の自宅治療も可能に

初期の激痛は1カ月も続かない

 ぎっくり腰になって、痛みが長引いているという人がいる。それは、初期と治りかけの痛みを混乱している場合が多い。ぎっくり腰の最初の激しい痛みは、前述のとおり炎症が原因だ。しかし、それが1カ月も続くことはまずない。

 痛みが長引く場合、動作におかしなクセ(過度に腰を守るなど)がついてしまい、筋肉が不自然な方向に伸ばされることによる二次的な痛みの可能性もある。再び激痛が襲うのではないかという恐怖、それが脳に刻まれているという心理的な問題である。

 この場合は、ぎっくり腰の炎症による痛みはすでに消えている。ボルタレンを飲んだところで、あまり効果はないのだ。むしろ、ぎっくり腰になる前の「動き」に戻す必要がある。心理的な要因も絡み合った複雑な痛みには、薬だけでの改善は難しい。

 そもそも、ぎっくり腰は医療機関を受診しなくても、正しい知識をもっていれば、ボルタレンなどの薬と適切な処置による自宅療養で治る。初期の炎症による痛みを和らげるためにボルタレンは有効だ。

 ただし、説明してきたとおり、その特性を理解して正しい使い方を心がけてほしい。安易な使用を避けるためにも、薬剤師や登録販売員などの正しい知識をもった専門家に助言を受けてもらいたい。


 
連載「国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」バックナンバー

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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