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【連載「国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか?」第17回】

「ボルタレン」を効果的に使うコツとは? 「ぎっくり腰」の自宅治療も可能に

 「ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)」は、「ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)」と並んで非常によく使われる「解熱鎮痛剤」だ。その手軽さと効果から、人気の大衆薬のひとつである。

 ボルタレンとロキソニンは、どちらも「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」に分類される。その目的は「炎症を抑える」ことだが、両者の違いはどこにあるのだろうか。そのひとつに挙げられるのは、ボルタレンはロキソニンよりも「強い効果がある」といわれている点にある。

 イメージ的には、ロキソニンは「素早く効くが持続時間が短い」、ボルタレンは「強く効いて持続時間が長い」――。

 ボルタレンは、飲み薬、貼り薬などのさまざまな製品が市販されており、ドラッグストアなどで目にすることも多い。入手しやすく手軽に使えるが、皆さんはその特性を理解して効果的に使っているだろうか?

 痛み止めの効果のあるボルタレンだが、痛みにはいくつか種類がある。炎症からくるもの(ぎっくり腰や打撲などの痛みはこれに当たることが多い)、偏頭痛などの痛み、神経系の痛みなどだ。

 ボルタレンが効くのは、「炎症による痛み」である。ほかの痛みには、それに適した薬を飲んだほうがいい。

ぎっくり腰は<炎症>の痛み

 それを踏まえた上で、「ぎっくり腰にボルタレンは効くのか?」ということを説明したい。

 ぎっくり腰は、動作の途中で激しい痛みが腰部に生じるのが特徴だ。これは腰の組織(筋肉、靭帯など)が、<引っかかったり><挟み込まれたり>することで、その部分に炎症が生じて起きる。

 そう、ぎっくり腰は「炎症による痛み」。ボルタレンなどの抗炎症薬は、ぎっくり腰に効果がある。ただし、<初期>のぎっくり腰だ。

 ぎっくり腰になると、数週間、腰を動かさないようにして、薬を飲み続けている人がたまにいる。ボルタレンなどの抗炎症薬を飲んでいるなら、過度な安静を続けるのは避けたほうがいい。

 これは、慎重になって腰を守ってしまい、その間に腰の周囲の筋肉が衰える。<痛みへの恐怖>も体に残ってしまい、不自然な動作やクセが身につく危険性がある。過度な安静は、好ましくない(というかやめてほしい)。

 ぎっくり腰は「風邪」を引いたようなものだ。適切な処置をすれば治る。ぎっくり腰になってしまったら、ボルタレンなどで痛みを和らげ、なるべくいつもどおりの生活を続けることが大切だ。日常生活や仕事に早期復帰することが可能である。

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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