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【連載「国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか?」第16回】

画像診断を気にするな!背骨の変形は「顔のシワ」? 痛みと画像診断には関連性がない!?

142567207.jpg画像検査に振り回されるな!?(shutterstock.com)

 「ちょっと背骨が変形していますね」「ここの骨と骨の間が狭くなっています」

 腰を痛めて医療機関を受診した際、医師からこのような言葉をかけられた人は少なくないだろう。以前にも「ほとんどの『腰痛』は画像で診断できない! 原因不明の『非特異性腰痛』とは?」で紹介したとおりだ。日本の医療機関の場合、「とりあえずレントゲン」は多い。

 レントゲンによる検査は、重篤な疾患がないかを確認するのには重要だ。そのこと自体は、悪い事ではない。

 しかし、レントゲン画像での所見が、そもそも腰の痛みは関係しない場合が多い。ところが、先ほどのような言葉をかけられると、患者は余計な不安を抱いてしまうものだ。

 多くの人は、「背骨が変形している=痛みの原因」だと思っている。患者さんと話していても、腰痛があるのは、「背骨が変形してしまっているから」と思い込んでいる人はとても多い。

 これは全くの誤解だ。確かに変形していることで、その結果、神経を圧迫していたり、骨と骨がぶつかりやすくなって痛みを生み出してしまっているケースは確かにある。だが、多くの場合は、変形が痛みを招くわけではない。

 海外でもこのような誤った認識は多い。腰痛の専門家(主に医師以外)は、この問題について、盛んに訴えている。

 医療関係者には有名な専門誌『Spine(スパイン)』で発表された論文のなかに、次のような驚く報告がある。腰痛の症状が出ていない健康な成人の腰部のMRIを撮ったところ、椎間板の変形が91%、亀裂が61%の人に認められたというのだ。

椎間板は、背骨と背骨の間にあるクッションのようなものだ。これが破れたり、膨張して神経を圧迫したりすると、下肢のしびれや痛みが生じる。これが「椎間板ヘルニア」と呼ばれるものだ。

 頚部に対しても同じような研究が行われていて、やはり健康な人の首のMRIでも変形が認められた、という報告がある。

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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