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バターはカラダにいいのか? いまだ続く論争にアブラを注ぐ「バター善玉論」

中立で悪者ではないがアレよりは…

 やや見解が異なるMozaffarian氏らの研究結果、その要点はこうだ。バターを人よりも多く摂取する人々は総じて、食生活や生活習慣もほめられたものではなかった。それでも彼らの解析結果も「中立」の位置を示したという。

 その点をふまえて、共著者の1人はこう語る。

 「つまり、バターは“中道”の食べものだと示唆されたわけです。言い換えれば、砂糖やでんぷんよりは健康的な選択肢だが、大豆やキャノーラ、アマニやオリーブなどの健康的な食用油と較べると健康的ではありませんね」

 彼らの解析結果によれば、バター摂取は早期死亡リスクの上昇に「ごく弱い関連」を示しはするものの、心疾患全体には関連しなかった。一方で、糖尿病から「保護する関連性」がわずかながらもみられたそうだ。

 バター摂取により、わずかであれ「糖尿病リスクが低下する」傾向は複数の先行研究からも示唆されている。ただ、今回の研究は因果関係を証明するものではない。

 ゆえに実際のところ、バター摂取が同リスクを低下させるのかどうか、あるいはバター摂取に関連する他の因子が関与しているのかを突き止めるにはさらなる探求が必要なのはいうまでもない。

 また、Mozaffarian氏らの成果と立ち位置はもちろん、バターが健康に対して「何らかの実益をもたらす」というものではない。

 でも、巷間で沸騰中のリスク論争に文字どおり、「火にアブラを注ぐ」論考であることはたしかだろう。
(文=編集部)

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