高齢者と若者が同じ「ランニングエコノミー」!?(shutterstock.com)
ランナーの「燃料効率」は高齢になっても衰えない――。「65歳以上のランナーは、若いランナーとほぼ同じ割合で酸素を燃焼できる」という研究結果が、米フンボルト州立大学運動 学部准教授のJustus Ortega氏らによって報告された。
前回、時間がなくても効果的な運動を行うことは十分に可能だということを伝えた。「もう『時間がない』と言い訳できない~自転車こぎ45分に匹敵する1分間エクササイズ」http://healthpress.jp/2016/05/1-10.htmlhttp://healthpress.jp/2016/05/1-10.html
今回は、「運動をはじめるのに“手遅れ”はない」という話だ。
『Medicine & Science in Sports & Exercise』4月号に掲載されたこの研究によると、高齢ランナーは、たとえペースが変化しても、運動中は若者と同様のエネルギー代謝、つまり優れた「ランニングエコノミー」を維持していることが判明した。
「ランニングエコノミー」は日本語で「走りの経済性」と訳され、一定のペースで走るための酸素消費量のことを指す。体内で産生できるエネルギーは、酸素摂取量に比例する。そのため、ランニングエコノミーの高さはエネルギーを推進力に変える効率の高さを意味する。
クルマで例えるなら燃費のようなものだ。同じペースで走っていても、ランニングエコノミーが高い選手のほうがラクに走れているというわけだ。
高齢になっても活動的であることがいい裏づけ
Ortega氏は「運動をするのに手遅れということはないと、十分な証拠により裏づけられている。どのタイプの運動が自分の身体に向いているのかを見つけることだ」とコメント。今回の知見は、高齢になっても活動的であることに一層の理由を示すものだと話している。
研究では、高齢ランナー15人と若年ランナー15人をトレッドミルで評価。 対象者は全員、6カ月以上にわたり週3回以上、1回30分以上の ランニングをしていた。
ランニングの力学には2グループ間で差があり、高齢ランナーは加齢に伴いテクニックを調整していることが示された。しかし、それぞれの速度で比較すると、高齢群は若年群と同程度の割合で酸素を燃焼していた。
Ortega氏は、「身体は自動車のようなもので、人によって燃料効率は異なる。 座りがち、あるいはときどきしか歩かない高齢者では筋肉の燃料効率が低下する。だが、 ジョギングの習慣を続けている人は、高いランニングエコノミーを維持できるようだ」と述べている。