ジャガイモで血圧が上昇!?(shutterstock.com)
春先に並び始めた新じゃが。初夏を迎え、みずみずしいこの味覚が楽しめるのも、もう少し――。
「好きな野菜」の常連で、「保存が効く」「いろいろな料理に使える」「年間を通してあまり価格が変動しない」という点からも、使い勝手のいい人気食材でもある。
ところが、そんな“優等生”の評価を下げる研究結果が先日報告された。「ジャガイモを食べ過ぎると高血圧のリスクが高まる可能性がある」というものだ。
米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のLea Borgi氏らによるこの報告は、『BMJ』(5月17日号)に掲載された。
Borgi氏らは、20年以上にわたる米国の大規模研究3件に参加した男女18万7000人超を追跡した。期間中、対象者は食事に関する調査票に回答。研究開始時に高血圧症を認めた対象者はいなかった。
意外!?「ポテトチップ」はリスク上昇しない
その結果、ジャガイモを週4回以上摂取すると、月1回未満の場合と比べて、「焼き」「ゆで」「マッシュ」の場合は11%、「揚げ」の場合では17%、高血圧リスクが上昇した。
意外なことに、「ポテトチップ」ではリスクは上昇しないようだった。
Borgi氏は、「ジャガイモは他の野菜に比べて「グリセミック指数 (glycemic index:GI値)」が高く、血糖値の急激な上昇を引き起こす可能性がある。このことが、今回の結果の説明となりえるかもしれない」とコメントしている。
GI値とは、食品が体内で糖に変わり血糖値が上昇するスピードの指標。ブドウ糖(グルコース)を摂取したときの血糖値の上昇率を100として相対的に表す。
今回の研究は、ジャガイモが高血圧を引き起こすことを証明するものではなく、リスク上昇に関連することを示したに過ぎない。だが、Borgi氏らは「ジャガイモを1日1回、デンプン質でない野菜に置き換えれば高血圧リスクが低下する可能性がある」と示唆している。
一方、別の栄養士の一人は、「ジャガイモ自体が悪いわけではなく、塩やたっぷりのバターをつけること、あるいはチーズやベーコンなどの添えられるものが問題だ」と反論している。