免疫療法が自宅で治療可能に
ダニアレルギーと判明したら、どんな治療法があるのだろうか。これまでの皮下注射に加え、新たに「舌下(ぜっか)免疫療法」による錠剤2種類が保険適用となった。服薬するだけなので、注射のように痛みや面倒さもなく、自宅で治療できるのがメリットだ。
昨年11月、シオノギ製薬が、ダニアレルゲン免疫療法薬「アシテア」ダニ舌下錠を発売した。
千葉大大学院医学研究院の岡本美孝教授(専門は耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学)らが2012年に約900人を対象に「アシテア」の治験を行った。
服用方法は、ダニ由来のアレルゲン抽出物から作られた錠剤を舌の下に置いて完全に溶けるまで数分間待ってから唾液と一緒に飲み込む。
低濃度の錠剤から始め、濃度を段階的に上げて数日後からは同じ量を飲み続ける。鼻炎の症状が治まっても中断せずに、毎日1回、数年間は服用することになる。
岡村教授らの治験によると、服用を開始から2カ月ほどで症状に改善がみられたと報告している。副作用については、服薬の初日から1週間の間に、口内の腫れや喉の刺激感などを訴えたケースはあったが、ほとんどが軽いものだったという。
もうひとつは、鳥居薬品が同時期に発売した減感作療法「ミティキュア」。講習を受けた医師しか処方できないのが、この薬の特徴だ。鳥居薬品が開設する「トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ」で、治療が受けられる医療機関が検索できる。
徹底した掃除と寝具の丸洗い
では、症状改善は薬に頼るだけなのか? いや、まずは掃除を徹底して、ハウスダストを極力減らすことだ。
アレルギーの元凶は、ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニの体に含まれるタンパク質や糞だ。ダニは、ほこりに混じるフケやアカを餌に産卵して繁殖する。
フローリングに比べてほこりがたまりやすい、じゅうたんや畳、カーペットは、ゆっくりていねいに掃除機をかけよう。
寝具は布団専用クリーナーもいいが、丸洗いがお勧めだ。ダニアレルゲンが95%低下するというから、寝具も洗えるコインランドリーを活用したい。
ダニにとって、室温25~28度、湿度65~85%が最も繁殖しやすい環境だ。気になる人は、梅雨前にした今から、ダニ退治の習慣をつけておこう。
(文=編集部)