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【連載「国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか?」第12回】

「腰痛」で腰を反らすのはアリ? ナシ? 椎間板ヘルニアに効果がある「マッケンジーエクササイズ」

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腰を反らす体操は良いのか? 悪いのか?(shutterstock.com)

 腰痛を改善するために、さまざまな方法が考案されている。それだけ腰痛に悩んでいる人が多い、ということでもある。

 色々な腰痛に対しての治療法、運動法があるが、今回は「腰を反らす体操は良いのか? 悪いのか?」ということについて解説する。

 ひと昔は「腰を反らすと良くない」と言われてきた。しかし、最近では「腰を反らす運動は腰痛に効果がある」ということも言われている。一体どちらが正しい情報だろうか?

 実は、この「腰を反らす運動」は、専門家の間では「マッケンジーエクササイズ」として有名だ。ニュージーランドの理学療法士、マッケンジーが考案し、その名が由来となって知られるようになった。

なぜ腰を反らす運動が腰痛に必要なのか?

 本来、脊柱(頚椎、胸椎、腰椎、仙椎から構成されている)は、前から見るとまっすぐだが、横から見ると湾曲している。腰椎においては35〜60度の前弯が正常とされている。つまり、腰が少し反っている姿勢が正常ということである。

 しかしながら、現代社会では、生活習慣から背中を丸めるような屈曲姿勢をとることが多くなってきているといわれている。必然的に腰を反る動作を行うことが少なくなっていることを意味する。

 ぎっくり腰などで腰を痛めてしまった場合、多くの人が腰を動かすことを避けて、過度に安静にしてしまう。また、動くようになったとしても「腰を反らす」という一見すると怖く危ないように感じる「動作」は、ますます行わなくなる傾向が強い。

 本来、損傷したあとは、膝であれ、肘であれ、そのままにしておくと固まってしまうというのはなんとなく想像ができると思う。そのため、理学療法などで可動域練習を行い、固くなったしまった関節の動きを取り戻すのが通例であるが、腰痛に関しては、なかなかそのことができていない。

 そのために「腰を反らす」というのは、日常生活の中でなかなか行わなくなってしまっている腰椎の伸展方向の運動を行い、周辺の組織をストレッチングし、負荷の少ない本来の腰椎前弯の形状を取り戻す、というのが一つの目的となる。

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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