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【連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」第9回】

薬剤の使用過多による頭痛!ロキソニンやトリプタンなどの頻回使用で頭痛に

「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の特徴は?

 今回は、昨年3月には取り上げなかった、このMOHについてもう少しみなさんに知って欲しいこと、また、最近の知見について書いてみたいと思います。

 MOHの患者さんには、以下のような特徴が見られます。

●片頭痛患者は働き盛りの20〜40歳代に頻度が高い。
●男女差も女性に多く、緊張型よりも片頭痛型に多い。
●病院や診療所を受診せずに、薬局・ドラッグストアにて市販の鎮痛薬を購入し、自己管理をしている場合が多い。
●頭痛症状のない関節痛やリウマチ患者さんなどでは、鎮痛薬を連日内服してもMOHを合併することはない。

 MOHは原因薬物の中止によって70%の症例で改善が得られるとされているとする報告があります。また、 MOHは約半数近くの患者さんは、再び薬物乱用頭痛を引き起こすとされています。再発の原因として、うつ病との関連が指摘されています。MOH患者さんのうつ病有病率は25〜50%との報告があります。

 これら、MOHの診断基準に当てはまる人や、上記特徴に当てはまる人は、自分ひとりで悩まずに、気軽に頭痛専門医のいる医療機関を受診してみてください。頭痛のつらさを理解してもらえる医師との出会いがあると思います。頭痛専門医は、日本頭痛学会のホームページ(http://www.jhsnet.org/ichiran.php)から検索可能です。

●参考文献
Characteristics of mood disorders in Japanese patients with medication-overuse headache.
Kaji Y1, Hirata K.
Intern Med. 2009;48(12):981-6. Epub 2009 Jun 15.

Medication-overuse headache in Japan.
Kanki R, Nagaseki Y, Sakai F.
Cephalalgia. 2008 Nov;28(11):1227-8.

連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」バックナンバー

西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学病院遺伝子診療部・脳神経内科 臨床教授、近畿大学総合理工学研究科遺伝カウンセラー養成課程 教授。1992年近畿大学医学部卒業。近畿大学病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、
2023年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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