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【連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」第9回】

薬剤の使用過多による頭痛!ロキソニンやトリプタンなどの頻回使用で頭痛に

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覚醒剤で頭痛は起きるのか?(shutterstock.com)

 2月22日は「頭痛の日」でした。

 昨年は「頭痛の芽を摘もう~頭痛の早期治療~」ということで、1年間は、頭痛の早期治療についての啓発が行われました。今年の頭痛の日は、「薬剤の使用過多による頭痛」について取り上げられています。2015年3月13日号にも紹介した「『あなたの頭痛、頭痛薬の飲みすぎで引き起こされる「薬物乱用頭痛」では?』」(MOH:Medication Overuse Headache)と呼ばれていた頭痛です。

 ここでいう薬物乱用とは、薬剤の使用過多による頭痛の意味で、決して違法な薬物を使用しているという意味ではありません。

 しかし、この呼び方が、今話題となっている覚醒剤や危険ドラックなど「違法な薬物を連想させる」として患者さんから評判が悪く、改善が求められてきました。そして、頭痛学会で協議の上、2014年発刊の国際頭痛分類第3版で、この点を配慮して「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」という表記に変更になりました。

 「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」とは、「過剰に内服薬を使用した場合に起こる頭痛」と言い換えることができます。薬局で買える鎮痛薬、医療機関から処方される鎮痛薬(ロキソニンなど)、トリプタンなどの急性期頭痛治療薬などを頻回に使用することで起こると考えられています。

 その診断の基準は、以前からの頭痛疾患をもつ患者さんにおいて、以下のように規定されています。

①頭痛が1カ月に15日以上存在する。
②1種類以上の急性期の対症的頭痛治療薬を3カ月以上定期的に乱用している(トリプタン、鎮痛薬などを1ヵ月に10日以上使用している場合など)。
③他の頭痛を起こす病気がない。

 ぜひ、日本頭痛協会ホームページにアクセスしてみてください。この「薬剤の使用過多による頭痛」のポスター掲示がされています。

西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学病院遺伝子診療部・脳神経内科 臨床教授、近畿大学総合理工学研究科遺伝カウンセラー養成課程 教授。1992年近畿大学医学部卒業。近畿大学病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、
2023年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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