①アセトアミノフェン、②非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)
これらが配合された頭痛薬は、医師の処方箋がなくても薬局で手に入る市販薬(OTC薬)として多くの種類あります。また、頭痛以外にも、熱冷し、痛み止めなどで内服された人も多くいらっしゃると思います。しかし、これらの薬に頼りすぎると、薬剤誘発性の頭痛が起こることがあります。使用頻度や容量が多くなっている方は、頭痛専門医師にご相談ください。
③トリプタン(5-HT1B/1D 受容体作動薬)
トリプタンは、脳の血管の5-HT1B受容体に作用し血管収縮作用があることが知られています。また神経(特に三叉神経)の5-HT1D受容体の賦活作用もあります。片頭痛はセロトニン(5-hydroxytryptamine:5-HT)の関与が重要視されており、その点からも頭痛治療薬の中核をなしている。現在、日本で発売されているトリプタンは5種類、イミグラン錠(注射薬、点鼻液)、ゾーミッグ錠、レルパックス錠、マクサルト錠、アマージ錠があります。これらの中でも、多少の差があるようで、患者さんの中には、特定のトリプタンにのみ効果のある方もいらっしゃるようです。
④制吐薬
制吐薬には、大きくメトクロプラミドとドンペリドンの2種類が知られています。これらの胃蠕動亢進性制吐薬は、ドパミンD2 拮抗作用を有します。頭痛の時の吐き気、嘔吐はつらい随伴症状であり、なんとかしたいものです。頭痛で吐き気、吐いてしまう方は、ぜひトリプタンと併用して使用することをお勧めします。ただし、妊娠の可能性のある方は内服できません。
⑤エルゴタミン製剤
トリプタンの発売前は、数多く使われていましたが、現在は以前から使用している方やトリプタンに反応しない特殊な場合を除き、使用されなくなりました。
ピークに達してからの痛みはコントロールできない
これらはすべて急性期の頭痛が起こっている時に使用する薬です。しかし、急性期の内服治療で、もっとも重要なことは、内服のタイミングだと考えられています(図を参照)。
痛みが完全にピークに達してからの内服では、痛みをコントロールできないことが多く、痛みが起こって来た時に内服する痛みのピークを回避できると考えられています。また患者さんによっては、自分の痛みのタイプを知っているようです。今の頭痛がさらに痛みを増していく時に、患者さん自身で内服のタイミングを学習されて、一番いいタイミングで内服できるようになることも多いようです。
今回は、急性期の頭痛治療について見てきました。ご紹介した薬は、片頭痛の急性期に使用する代表的な薬剤です。実際の臨床では、これ以外にも片頭痛の程度、症状、期間によってさまざまな薬があります。頭痛でお困りの患者さんがいらっしゃいましたら、お近くの頭痛専門医にぜひご相談ください。
参考文献:『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』日本頭痛学会・編、『頭痛治療薬の考え方、使い方』竹島多賀夫・編著