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【連載「眼病平癒のエビデンス」第10回】

亀田大毅が引退を決断した「網膜剥離」とは? 格闘技以外のスポーツも要注意!

 治療は、患者の年齢、裂孔の位置、網膜剥離の位置や程度により異なります。網膜剥離を伴わない裂孔であれば、網膜光凝固(レーザ治療)をすることが多いですが、若年者では治療をせず経過観察することもあります。網膜剥離を起こしている場合は、多くは手術を必要とします。手術には、目の外から行う方法(強膜内陥術)と中から行う方法(硝子体手術)があります。

 小さな裂孔の段階で発見され治療を受ければ、網膜剥離になる危険性は大幅に減少します。そのためには眼底の定期検査が必要になります。特に危険因子を持っている方、例えば強度近視、アトピー性皮膚炎の方、白内障など目の手術を受けられている方、目に打撲を受たり、常に衝撃を受けている方(ボクシング等の格闘技や飛び込みの選手の方)などは定期的に眼底検査を受けた方が良いでしょう。

 また、目には衝撃を受けるスポーツではいないと思っていても、知らず知らずのうちに裂孔が出来ていることがあります。例えばサッカーのヘディングが原因で網膜剥離を起こしたと思われる中学生がいました。この様に、眼球の発育段階にある小中学生は、目に衝撃を受けるスポーツをやっていなくても、飛蚊症や見え方が変だと感じたら、近視が進んだなどと思いこまないで早めに眼科を受診すべきです。

 目の周りにアトピー性皮膚炎がある方は、痒みのために就寝中などに無意識のうちに目を叩いていることがあり、外傷性の網膜剥離になっていることがあります。

 片眼性の病気の初期変化は、普段両眼で生活していると気づきにくいものです。時には、片眼で見て、左右の差や普段と見え方の変化がないか自分でチェックしてみることも大切です。また、急に病状が変化することもありますので、たとえ飛蚊症などで定期検査を受けていても、異変に気がついたらすぐに受診すべきです。

連載「眼病平癒のエビデンス」のバックナンバー

高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)

くにたち駅前眼科クリニック院長。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。2019年4月より現職。
日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。

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