そもそも、児童ポルノ禁止の目的は、第一義に子どもの人権を守ることにある。児童ポルノは、児童の人権を著しく侵害する。インターネット上に流出すれば回収は事実上不可能で、被害児童の苦しみは将来にわたって続く。
今年11月5日、警視庁と京都府警は、画像共有アプリ運営会社「AIRCAST」の社長を児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列)ほう助容疑で逮捕したと発表。スマートフォンの画像共有アプリ「写真袋」で、児童ポルノ画像を公開するのを手助けしたというものである。
画像共有アプリを巡っては、不適切な画像を投稿した利用者が摘発されることは多いが、運営業者が立件されるのは初。被害を最小にとどめるには、このような摘発は歓迎すべきことだろう。
表現の自由に関する議論より包括的な整備に目を
このように、児童ポルノの所持者およびほう助への罰則に注目されがちだが、改正児童ポルノ禁止法は、児童の性被害や虐待の証拠の取り締まり、さらには児童の権利擁護や保護も目的に掲げている。ならば改正後、子どもを性被害から守り、被害にあった子を保護・ケアしたり、加害者の摘発など、満足に機能しているだろうか。
まだまだ、同法には“改正”の余地がありそうだ。表現の自由における取り締まりや論争よりも、現実に起きる性被害をより包括的に防ぐための法整備や環境改善に目を向けるべきではないだろうか。
(文=編集部)