一方、注意すべき、起こりやすい骨折がある。「橈骨遠位端骨折」「脊椎圧迫骨折」、「大腿骨頚部骨折」である。これは全て転倒によるものだ。手をついたり(橈骨遠位端骨折)、尻餅をついたり(脊椎圧迫骨折)、横に転倒したりして(大腿骨頚部骨折)起こる。特に高齢者に多い。
それぞれ治療方法や固定期間は異なるが、大事なのは、必ず骨折の後に医師、理学療法士などの適切な処置、リハビリテーションを受けることである。固定をしたまま放っておくとその部分が癒着し、可動域が戻らなかったり、痛みに敏感になったり、慢性化する可能性がある。
豪・Curtin大学で最新の理学療法を学んだ、理学療法士の三木貴弘氏は、「橈骨遠位端骨折の場合、複合性局所疼痛症候群(CPRS)という合併症が起きることが少なくない。これは極度な熱感、腫脹などを伴い、動かすと激痛を伴うもの)といい、骨折後の処置、マネージメントが非常に重要だと述べる。
骨が強くなることはないが、骨折後の処置を適切に行えば、弱くなったり動かなくなったりすることはない。だが、骨折したことで動かせない状態が必要以上に続くと、その周囲の組織が癒着したり感覚が変化してしまったりして慢性化してしまう。また、骨折がきっかけに生活の活動量が減る人もいる。
三木氏は、「固定期間を終えた後も、自己判断をせずに専門家と一緒にリハビリテーションも重視してもらいたい」と勧めている。
(文=編集部)