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【連載「更年期をのりこえよう!」第5回】

定年退職後の夫が家にいるストレスで引き起こされる「濡れ落ち葉」とは!?

 そんな時、結婚時には微笑ましく思えた夫の欠点が許せなくなっている自分に気づくかもしれない。こんな人だとは思わなかったと後悔している自分に気づくもしれない。長い結婚生活を経るうちに、お互いの性格や嗜好が少しずつ変わっていき、いつの間にかすきま風が吹いて、理解できない溝が深くなってしまったことに愕然とするかもしれない。

夫婦関係を見つめ直す良いチャンス、離婚の選択も

 しかし、夫と話をして解決できる問題ならば、率直に自分の気持ちを伝えて、溝を少しずつ埋めていく努力をしなければ、いつまで経ってもお互いの距離は縮まらない。夫の世話が必要なことで、「束縛されている」と負担に感じているのなら、遠慮せずに夫の自立を促そう。老後、妻に先立たれたら、何もできないのでは本人のためにもならない。「濡れ落ち葉」にならないためにも、「これからは家事を分担してね」と切り出してみよう。

 これまで会社人間だった男性は、心のなかでは「毎日が日曜日」をどう過ごしたらいいのか当惑しているのである。会社で自分の役割を振られることには慣れているので、「あなたのサポートが必要なの」と上手に頼めば、使命感を感じて腰をあげてくれるはずだ。手始めに買い物に行ってもらうとか、料理を手伝ってもらうところから始めてみてはいかがだろう。家事の役割分担を決めてしまうのもいいだろう。

 共通の趣味があれば会話も復活する。一緒に旅行に行ったり、映画を観に行ったりして共通の話題を増やしていき、空気のような存在から手ごたえのある存在へと、着実に歩を進めてみてはいかがだろう。

 夫と一緒に何かをするなんてとんでもないと、もはや存在そのものに愛想が尽きているのだとしたら、離婚も前向きな選択肢となるだろう。
 
 更年期は夫婦関係を見つめ直す良いチャンスなのである。


連載「更年期をのりこえよう!」バックナンバー

宮沢あゆみ(みやざわ・あゆみ)

あゆみクリニック院長。早稲田大学卒業後、TBSに入社し、報道局政治経済部初の女性記者として首相官邸、野党、国会、各省庁を担当。外信部へ移り国際情勢担当。バルセロナオリンピック特派員。この間、報道情報番組のディレクター、プロデューサーを兼務。その後、東海大医学部に学士編入学。New York Medical College、Mount Sinai Medical Center、Beth Israel Medical Center へ留学。三井記念病院、都立墨東病院勤務などを経て「あゆみクリニック」を開業。働く女性に配慮して夜間や土曜も診療しており、思春期から更年期までの女性のトータルケアに力を入れている。
あゆみクリニック」完全予約制。診療日:月,火,木 11:00~14:00 17:00~20:00 土 11:00~16:00

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