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【インタビュー「患者サイドも医療サイドも満足の“日帰り手術”を!」第1回 東京ヘルニアセンター・執行クリニック 執行友成院長 】

クリニックでヘルニア手術、しかも日帰り!? 草創期から日帰り手術に携わったパイオニア

shigyou.jpg東京ヘルニアセンター・執行クリニック(公式HPより

 「手術のなのに日帰り!?」。最初に「日帰り手術」という言葉を耳にした数年前、多くの人がこう感じたはずだ。「日帰り温泉」や「日帰りバスツアー」といったお手軽なイメージがその言葉にはあるので、本当に日帰りで大丈夫なのか、という一抹の不安もあった。

 ところが、いまや良性疾患の手術の多くは日帰りまたは短期間の入院で済むことがかなり知られるようになった。午前中に手術をして、夕方には帰宅できる場合もあるが、日帰り手術の定義は「24時間以内に退院すること」。手術当日だけ入院し、翌日帰宅するケースも「日帰り」に含まれる。

会社を長く休めない人への朗報だった

 日帰り手術が可能な疾患は広がりつつある。鼠蹊(そけい)ヘルニアをはじめ、白内障、胆石症、痔、下肢静脈瘤、大腸ポリープ、甲状腺腫瘤などの良性疾患、さらには悪性でも乳がんの温存手術などは適応。ただし、手術時間が2時間以内に収まるという条件がある。

 それまで1週間から10日程度の入院が必要だった多くの疾患が、日帰りまたは短期滞在で手術が可能となったことで、患者の社会復帰も早まった。長期休暇が取りづらいからと二の足を踏んでいた人も、1〜2日休めば会社に出られると聞き手術を希望する人が増えた。子育て中、介護中の人も同様である。日常のリズムを大きく変えなくていいことも人気の理由だ。

 入院日数が短くなったことで、患者の費用負担も格段に下がった。入院費が大きく削られるからだ。同時に、病院サイドのコスト削減、国全体の医療費の削減にもつながっているから、メリットは大きい。

鼠蹊ヘルニアに特化したクリニック

 アメリカでは「Day Surgery」と呼ばれる日帰り手術が1975年から行なわれている。国民皆保険制度のないアメリカでは、民間の保険に加入していない人も多く、医療費の負担がそのまま生活を圧迫することになるから、長く入院することはできないのだ。そこで、日帰り手術のために開発されたのが腹腔鏡。大きく開腹せずに済むので、患者の侵襲性も低い。

 日本では、1995年から湘南鎌倉総合病院で日帰り手術が始まったが、個人のクリニックで初めて鼠蹊ヘルニア日帰り手術が行なわれたのは1998年7月のこと。東京・神楽坂の執行(しぎょう)クリニックの執行友成医師の執刀だ。

執行友成(しぎょう・ともしげ)

東京ヘルニアセンター・執行クリニック院長、神楽坂DSマイクリニック院長、日本短期滞在外科手術研究会代表世話人。1952年、東京生まれ。1981年、東京医科大学卒業後、東京警察病院外科に入局。1991年、執行クリニックを開院。1998年には神楽坂訪問看護ステーションを、2001年には神楽坂ヘルパーステーションを開設するなど、在宅医療にも深く関わる。2003年に神楽坂DSマイクリニックを開設。著書に『鼠蹊ヘルニア(脱腸)は、入院しなくても治る!』(如月出版)がある。

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