意外なことに運動をするだけでは、筋肉は増えない。
「筋肉では、絶えず筋タンパク質の分解と合成が行われています。合成が分解を上回れば、筋肉量はふえます。この筋タンパク質の合成にはアミノ酸が必要で、栄養状態が悪いと運動をすることでかえって筋肉が減ってしまうことがわかっています。有酸素運動を行い、その後にアミノ酸を含む食品などを摂ることで、筋肉を効果的に増やすことができます」
アミノ酸が含まれる食品といえば、卵・乳製品・豆類・肉・魚などだが、手っ取り早いのはウォーキングをしたら牛乳を飲むことだろう。アミノ酸が含まれる機能性食品飲料でもよい。
秋山医師は、病院の患者やその家族を対象にメディカル・ウォーキング講座を開催している。講座では、まずラスト10年問題、筋肉の重要性や栄養についての授業を受けてから、近くの公園などでウォーキングの実践を行う。ヘルスウォーキング指導士の資格を持つ秋山医師をはじめ、理学療法士、看護師、管理栄養士などのスタッフがチームで指導する。
「ラスト10年問題に対応するためには、病院の中で目の前の患者さんを診るだけでなく、スタッフが社会に出て行くことが重要だと考えています」