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【連載第7回 健康って何だ?~フィットネス道の探求~】

「体幹」「コア」「ファンクショナル」流行のエクササイズに惑わされるな!?

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最近流行の体幹トレーニングだが......シータ/PIXTA(ピクスタ)

 フィットネス雑誌や健康・美容雑誌で、「体幹トレーニング」「コアトレ」「ファンクショナルトレーニング」など、流行のエクササイズが目に付く。そもそも、体幹、コア、ファンクショナルとは、何だろう。

 まず、「体幹」とは文字通り身体の胴体部分だ。「コア(core)」は、中心や核、芯を表す概念で、具体的な体の部位を指す、明確な定義はない。そして、「ファンクショナル」は機能的、実用的を意味する。

 どれも医学的、生理学的には、明確な定義はないとされている。それを身体に当てはめてトレーニングするわけだから、指導者によって見解もさまざまで、いろいろな運動を用いているのが現状だ。

 だが、体幹やコア、ファンクショナルのいずれも、魔法のエクササイズのように捉えて、それに集中する人は少なくない。まるで、○○ダイエットが流行すると、それだけで全てが解決するように......。

 同じように、"体幹"だけを鍛えても効果的ではない。また、見よう見まねでポーズをとって行うのと、専門家による指導をきちんと受け、正しく理解した上で実践するのでは大きな違いがある。

 体幹トレーニングは一見簡単に見えるが、実は基礎的な筋力がない人は、正しいポーズができずに負担が偏って、体を痛めたり、故障したりすることがある。

 さらに重要なのは、そのトレーニングを行った結果、「どんなカラダ」になるのか、そして「何のために行うのか」だ。あくまでも手段であって、それが目的ではないはずだ。自分が取り組む競技種目のためのパフォーマンスをアップしたいのか、見た目にカッコイイカラダ、女性らしい綺麗なプロポーションを目指すのか......。

 見た目や康維の維持・促進と、さまざまな目的があるはず。その目的に向けていかに効率よくトレーニングするかが大事だ。

"ナチュラルボディ"は自然に手に入るものではない!?

 こんなことをあらためて言うのは、何かが流行ると、最もベーシックなトレーニングを軽視したり、世界的にもしっかりと確立しているトレーニングの理論、原理・原則を見失いがちになる傾向があるからだ。

 基本的なトレーニングを地道に行うことが、必ず近道になるはず。基礎的なトレーニング≒ウエイトトレーニング≒ムキムキ≒ボディビルダー≒動けない、見せかけの身体......。最近の"体幹"ブームが起きた要因には、こんなイメージが根強くあるからかもしれない。実際、WEB上ではこんなキャッチフレーズが踊っている。「アスリートのような体」「しなやかなカラダ」「ナチュラルボディ」「インナーマッスル」――。

 こんなコピーたちを耳にすると、どれが正しいトレーニング法? そんな疑問が出てきそうだが、あくまで要となるのはオーソドックスなトレーニングだ。そして、原理原則は、負荷を変えて継続していくこと。偏ったエクササイズでなくて全身を鍛え、なにより楽しく汗を流すことだ。そこに、体幹トレーニング、ファンクショナルトレーニングなどをプラスすることで、より効果的にカラダが変わるはずだ。

 最近ボディビルディングの大会では「フィジーク」「ビキニ」というジャンルが注目され、参加者も増えている。フィジーク(physique)とは「体格(特に男性の)」という名詞だ。つまり、フィジークコンテストとは、体格・体型の美しさを競う。過度に発達した筋肉は好ましくないわけだ。よりカッコよく、より綺麗に、セクシーに見せるというアメリカンナイズされた感覚が受けているのだろう。何度か観戦したが、参加者は皆とても素敵だった。

 トータルバランスを考えたトレーニングによってつくられたカラダだが、決してボディビルダーより楽なトレーニングではない。時間をかけて地道に努力しなければ "ナチュラルボディ"は手に入らないのだ。


連載「健康って何だ?~フィットネス道の探求~」バックナンバー

村上勇(むらかみ・いさむ)

フィットネスアドバイザー。JT東京男子バレーボール選手を引退後、現・スポーツクラブ「ルネサンス」に勤務。2007年から「メディカルフィットネス+スパ ラ・ヴィータ」のゼネラルマネージャーとして施設運営に携わる一方、トレーナーとして主婦や高齢者、アスリート(サッカーチーム・モンテディオ山形、加藤条冶:スピードスケート、黒田吉隆:レーシングドライバー)、著名人(指揮者・飯森範親など)を幅広く指導。現在は株式会社ドリームゲート代表として、スポーツチーム・アスリート・企業などを指導、運営協力に携わる。

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