度が強いと遠くがはっきり見えるので、度を落とすことで遠くのものが見えなくなることに抵抗がある人もいるでしょう。その場合は、度数を落としたコンピュータ用と、遠くが良く見える運転用・スポーツ用と、二種類のコンタクトレンズやメガネを持つことも一つの方法でしょう。
また、どのようにしてコンタクトレンズやメガネの度数を決定したかも、大きな問題です。コンタクトレンズやメガネを作りに眼科やお店に行くと、レフラクトメーターという機械で、屈折(近視・乱視・遠視)の程度を測定しますが、その値は屈折だけではなく、調節力の影響も受けます。つまり、特に調節力が強い若い人は、真の屈折値のみを表示しているわけではないと言えます。
そこで、過矯正を避けるために、サイプレジン点眼薬やミドリン点眼薬という調節麻痺剤を用いたり、雲霧法という方法で調節力の影響を低下させたりして、正しい屈折値を求めることがあります。ただし、このような方法は、眼科でしか行えません。しかも、時間がかかるので、すべての人に対して行われているわけではありません。
患者さんやお客さんの要望・利便性を優先し、レフラクトメーターの値だけを参考にしてコンタクトレンズやメガネが処方されていることも多く、このことも過矯正につながっています。過矯正の症状があったら、自分がどのような方法でコンタクトレンズやメガネを処方されたかを思い出し、よく眼科で相談するといいでしょう。
よく見えるメガネがベストではない
さらに最近では、インターネットでコンタクトレンズが購入する方がいますが、角膜の状態や屈折、視力の検査などを受けないで購入するので、角膜の病気や過矯正などに気がつかないまま使い続けている人も多いようです。
はっきり見えるからといって、過矯正に設定したコンタクトレンズを装用し続けると、体調を崩したり、目が疲れたりするなど、決して良いことはありません。また、集中力が低下し、仕事のパフォーマンスが落ち、能力が十分に発揮できないこともあるでしょう。
コンタクトレンズやメガネは、最高の視力が出れば良いというものではなく、その人にとって必要な視力を得るためのものです。コンタクトレンズを処方してもらう時には、きちんと自分の仕事や生活環境を伝え、よく話し合って、適切な度数で矯正してもらうことが大切です。
長時間コンピュータを使用した後や手元の細かい作業をした後に眼精疲労を感じた場合、過矯正以外にドライアイや斜視など、他の要因が絡んでいることもあります。ですので、眼精疲労を感じたら、一度、眼科で精密検査を受けることをおすすめいたします。