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経腸栄養によって命をつなぐ患者や現場の医師からの問題提起、厚労省はどうこたえるのか?

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胃ろうからのミキサー食は子供たちの命綱shutterstock.com

 重度の障害や疾患のため経口による栄養補給ができないため、経管栄養によって生命をつなぐ多くの患者がいる。経管栄養法は、管を挿入した経路により、経鼻胃管、胃ろう、腸ろうなどに分けられ、点滴などで静脈から栄養をとる方法に比べ、消化管経由のためより自然で、安全かつ低コストなどの利点がある。

 厚生労働省はこの経腸栄養に使われる接続コネクタを一律国際規格に移行することを決めている。これに対し現場の医師や在宅で患者を支える介護者、家族などからその早急な移行を問題視し、課題解決を望む声が上がっている。

「経腸栄養コネクタ議員連盟」の設立

 4月23日、「ミキサー食注入で健康をのぞむ会」(代表:下釜櫻子)は、既存の規格品の出荷停止を決めた厚労省に対し、決定撤回と既存品存続を求める要望書を出した。またコロナ禍の中にもかかわらず2万2千余の署名が集まり、急きょ設立された「経腸栄養コネクタ議員連盟」(会長:根本匠衆議院議員)が窓口となり衆議院議長に提出することとなった。

 この問題は医療的ケアで使用されるさまざまなコネクタの誤接続による医療事故を防ぐ目的で、「呼吸器システム及び気体移送」「四肢のカフ拡張」「神経麻痺」「泌尿器」「皮下注射及び血管系統」そして「経腸栄養」ごとに形状を変えてシステムごとの誤接続を防ぐための国際規格(ISO80369)の開発が始まりだ。2006年ごろからは「経腸栄養」に関して新しいコネクタの国際規格が設定され、日本でも切り替えが行われることとなった。

 この大前提は一見全く問題がないように思えるのだが、経腸栄養を利用している患者やその家族、医療者などからつぎつぎと問題が浮かび上がってきた。

 この問題で様々な発言をしている大阪大学国際医工情報センター栄養ディバイス未来医工学共同研究部門の井上善文特任教授は自らのブログで以下のように発言している。
『経腸栄養の新しい接続方式の「ENFit」、世界的に統一することになっているので導入しなくてはなりません。しかし、本当は、日本は経腸栄養投与経路としてカテーテルテーパーになっているので誤接続問題は起こらなくなっていたので、導入する必要はなかったはずです。しかし、仕方ありません。私は、これは、間違いなく改悪だと思っています。しかし、導入しなければなりません。対応しなければなりません。しかし、カテーテルテーパーでなければ管理が困難な場合があります。胃瘻やPTEGを減圧に使う場合ですが、減圧用としてカテーテルテーパーが残ります。ミキサー食を注入する場合も、カテーテルテーパーを残す必要があると思います。ENFitになると、注射器で注入する場合、より強い力が必要です。手が痛くなります。例外を増やすと本来の目的が達成できなくなるので、しっかり考える必要はありますが。ミキサー食注入用にカテーテルテーパーを残す必要があります。』(https://ameblo.jp/zenbun-inoue)

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