アメリカでも大混乱は起きていた
今からちょうど2か月前の12月13日にアメリカで先行して医療関係者のワクチン接種が始まった。その後一般市民に向けての接種に移行したが、様々な問題が噴出した。ちょうど今の日本が直面している問題に酷似していてその報告は大いに参考になる。
連邦政府はワクチン接種のガイドラインを作成せずに、州政府や市町村に委ねた。地方政府が中心となってインターネット上に多くの予約サイトが設けられたが、詳細な健康データを入力してやっと予約カレンダーにたどり着いたと思ったら、すべての日程が予約で埋まっていて予約ができないという事態が起きた。カリフォルニア州では予約のアクセスが集中して回線自体が接続不能となった(現在は民間のエンジニアの協力を得てアクセス増大負荷にも対応できる予約サイトが出来上がった)。
日本でも多くの一般市民に対する接種が始まった途端に、同様の事態が起きるかしれないことを想定して準備をしておかなければならない。ワクチン接種の予約のための電話が殺到し、電話回線がパンクするかもしれない。「PCR検査が受けたくても受けられない、保健所への電話すらつながらない。」、そんな事態が繰り返されないように十分備えておかなければならない。
ワクチン接種後の副反応に対する相談窓口に関しても同様のことが考えられる。集団接種後に帰宅してから起きた有害事象が発生したら誰がどのような形で対応するのか、そのためのシステムを構築しておく必要があるかもしれない。コロナ自宅療養者がなかなか医療の恩恵にあずかれない状況を繰り返してはいけない。
*ワクチン配布・接種に関してはアメリカでもスムーズではなかった(以下参照)。
「新型コロナウイルスのワクチン不足と、“お粗末な予約サイト”という米国の惨状」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8811dee4564c6215fff951987eddd2dc7916b1f?page=1
「新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化すれば、「物流」などの新たな課題が顕在化する」
https://wired.jp/2020/12/18/first-americans-vaccinated-now-hard-part/?utm_source=yahoo.co.jp_news&utm_campaign=yahoo_ssl&utm_medium=referral"utm_medium=referral
(文=和田眞紀夫)
和田眞紀夫(わだ・まきお)
わだ内科クリニック院長
※医療バナンス学会発行「MRIC」2021年2月18日より転載(http://medg.jp/mt/)