ラーメンにはチャーシュー、パスタにはたっぷり粉チーズ
たとえば、1枚の「ざる蕎麦」は「天ざる蕎麦」よりもヘルシーな気がするが、実は蕎麦だけを食べたほうが、食後血糖値の上昇が激しく、糖質が脂肪として蓄えられやすい。少しカロリーが高くても天ぷらをつけたほうが、脂質の摂取によって血糖値の変化がゆるやかになり、体に脂肪も付きにくくなる。
その場合、蕎麦に手を付ける前にまず天ぷらを食べるようにすると、血糖値を抑える効果が高い。同様にラーメンにはチャーシューをトッピング、パスタには粉チーズをたっぷりかけるほうが、血糖値の上昇は緩やかになるのだ。
また、いわゆる「ベジファースト」でランチセットのサラダを最初に食べる時は、ノンオイルのドレッシングより、良質の油をたっぷり使ったドレッシングをかけて食べるほうが良い。
このように、健康のためには脂質を含む食品を十分に取り入れて、糖質の吸収を穏やかにする方がヘルシーな食事になるのだ。
人間に欠かせない動物性の脂肪
とはいえ、脂質の中でも特に動物性脂肪は、長らく「悪玉」とされ、コレステロールの摂りすぎが生活習慣病の原因になると言われてきた。
ところが近年になって、コレステロールを控えることが血中の中性脂肪を減らすわけではないことが次々と報告されている。また、日本人は動物性脂肪を摂取してもしなくても、心筋梗塞のリスクは変わらない、さらに脳卒中のリスクは軽減することも、複数の研究機関で明らかになった。
<動物性脂肪は植物性脂肪に比べて、必須脂肪酸のバランスが人体組成に近いので、栄養素をバランス良く効率的に摂取できます。さらに満足感が高く、食べ過ぎを防いでくれます>
著書『肉・卵・チーズで人は生まれ変わる』(主婦の友社)でこう述べているのは、「MEC食」を提唱するこくらクリニック(沖縄県那覇市)院長の渡辺信幸医師だ。
「MEC食(メック)食」とは、MEC(肉meet・卵egg・チーズcheese)を食事の中心にして必須栄養素を満たしたうえで、「一口30回かんで食べる」を基本とする食事法。長く離島医療に携わってきた渡辺医師は、誰もが簡単にできて継続できる健康法を試行錯誤し、MEC食を考案した。実際にこれまで5000人以上がMEC食を実践して「痩せて健康になった」という。
その渡辺医師がお勧めする油は、豚の脂を精製したラードだ。ラードは人の皮脂にも近く、摂取することで肌の油分をしっかり補い、美肌をつくるという。キレイに痩せたい、健康を維持したいという人は、良質なタンパク質ともに脂質も意識して摂取することを心がけてほしい。
(文=編集部)