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サプリメントで急性肝障害被害 自然由来サプリでも安全・安心とは限らない理由

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サプリメントを妄信してはいけない

 美容や健康志向のユーザーの購入心をくすぐるフレーズに、「天然成分」「自然由来」がある。ところが、天然や自然の冠を被るサプリメントでも、過信摂取は禁物だ。それをあらためて警告する症例報告を『BMJ Case Reports』(3月25日版)が掲載した。

 報告されたのは、紅麹サプリを摂取して急性肝障害を発症した米国人女性(64歳)。巷で人気の紅麹サプリは、蒸したコメに紅麹菌を混ぜて発酵させ、その菌から作られる。自然なかたちでコレステロールを下げられる効用から、脂質低下薬スタチンの代用として用いられる例が多い。

 実際に、報告された女性もスタチンの副作用を敬遠して、1200mgの紅麹サプリを毎日1回、6週間にわたって服用していた。その結果、肝疾患の徴候(疲れ/むくみ/尿・便色の変化/黄疸症状)に襲われたと報告されている。

「紅麹」が原因で薬物性肝障害に

 前出女性に喫煙習慣はなく、飲酒も晩酌でワイン2杯程度。肝疾患や輸血の既往もなく、直近の渡航歴を持つ周辺関係者もいなかった。患者の肝臓検査を担ったヘンリー・フォード・ヘルスシステムのLize Loubser氏らは、「紅麹」が原因の「薬物性肝障害」だと確信。女性はステロイド薬治療を受け、退院後も毎週の肝機能検査を余儀なくされた。

 スタチンと同様、紅麹にもコレステロールを低下させる活性成分(モナコリンK)が含まれているが、その含有量が規制されていない。「製品によっては測定されていないなどのバラつきがある。自然由来のサプリだとしても、必ずしも安全とは限らないという認識を利用者は持つべきだろう」と、Loubser氏らは警鐘を鳴らす。

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