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その症状、花粉症ではなくPM2.5かも  重症化を避ける予防法とは

PM2.5のダメージ軽減で重症化を防ぐ

 一方、日本の環境基本法にもとづくPM2.5の基準値は、1日の平均値35μg/m3、1年の平均値15μg/m3。1日の平均値が70μg/m3を超えるときは、都道府県による注意喚起が推奨されている。

 気になるPM2.5の数値を観測するサイトは幾つかある。例えば、日本気象協会の「PM2.5分布予測」や、国立環境研究所「VENUS」の「大気汚染濃度予想図」、九州大学の「SPRINTARS」などを一度閲覧してみてもらいたい。

 また、全国約700カ所で測定したPM2.5の速報値を、環境省は「そらまめ君」(大気汚染物質広域監視システム)で公開しており、自分が今いる地域のPM2.5の濃度を知ることができる。

 ただし、PM2.5は基準値以下だったとしても、いわゆる「高感受性者」に属する小児や高齢者、呼吸器系、循環器系の疾患を抱える人には悪影響が否めない。

 そこで、「注意喚起」を促すほどの予想濃度にならずとも、「不要不急の外出を避ける」「換気や窓の開け閉めは必要最低限に」「屋外での長時間の活動を避ける」などの事前対策が重要。ダメージの低減や症状の重症化の予防につながる。

PM2.5が精子の異常を引き起こす!?

 呼吸器疾患や心疾患への影響ばかりが注目されるPM2.5だが、「若くて健康的な成人世代」への悪影響も決して侮れない報告がなされている。『Occupational & Environmental Medicine』(2017年11月21日オンライン版)に、香港中文大学公衆衛生・一次医療学部のXiang Qian Lao氏らの研究班が衝撃的な新知見が掲載された。

 台湾人男性6475名(平均年齢31.9歳)を被験対象に実施した研究成果によれば、「PM2.5への暴露が精子の形態異常をもたらし、精子の質も低下させる」というものだ。

 この報告を読んだ米レノックス・ヒル病院のTomer Singer氏も「そのような影響がみられるのは大気が極度に汚染された地域に限定されるだろう」と前置きしつつも、Lao氏らの示唆は「大気汚染と精子の異常との関連を裏付ける強いエビデンスとなると思う」とコメントしている。

 なお、喫煙者が自ら吐き出す紫煙も典型的なPM2.5。「比較的清浄な日本」だが、受動喫煙対策に関してはガラパゴス的な後進(国)性を持ち合わせており、なかなか議論は進まない。
(文=編集部)

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