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人と一緒に食事ができない! 「会食恐怖症」に悩む人たちに伝える、その克服法とは

完食指導がトラウマを生む

 会食恐怖症の人が苦手な料理のパターンとしては、まず、定食やコース料理など、一人分の分量がきっちり定められているメニューがことに苦手であることと、料理のタイプとしては、焼き肉など脂っこいものが苦手な人が多い。つまり一番苦手な人が多いのは焼き肉定食。コース料理を食べなければいけない結婚式に関する相談も多い。逆にいえば、最初は皆で取り分ける料理や、ビュッフェ料理で、脂っこくないものから練習を始めてみるのもいいという。

「残してはいけないのではないか」という強迫観念が、会食恐怖症のベースになっていることは多く、「残してもいいんだ」ということを理解するだけで、大分症状が柔らぐことは多いと、山口氏は言う。
 
 考えてみれば、日本人ほど、「料理は残さず食べるべきだ」と頑なに考えている国民も珍しい。幼稚園や小学校では、給食を食べきれない子に、食べ終わるまでいつまでも席に残らせる完食指導が広く行なわれてきたし、最近はやや見直されてきたとはいえ、いまでも行なっている幼稚園や学校は多い。

 しかし、完食を強制されるほどに、ご飯は子供の喉を通らなくなってしまう。これがトラウマになって会食恐怖症になってしまった人は多いという。

 現在、山口氏は、会食恐怖症に悩む全国の人々へのカウンセリングのほかに、保育士さんなどに対して正しい食事指導のあり方に対してアドバイスしているという。

「社交不安障害」の一種として捉えられ、精神科にかかっても、精神科医にもよく理解されないままに抗不安薬などを出されてお茶を濁されてしまうことが多いという会食恐怖症。その病気の世間での認知度を高め、悩んでいる人たちに正しい克服法を広めていくことが、山口氏の目標である。
(取材・文=里中高志)

山口健太(やまぐち・けんた)
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 理事長、心理カウンセラー。
薬を使わず「会食恐怖症」を克服した自身の当事者経験を生かし、会食恐怖症に悩む人へのカウンセリングを行っている。相談実績は年間のべ1,000件超。学校や保育所への給食指導コンサルティング活動も行う

里中高志(さとなか・たかし)

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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