共感力が高い人はSNSの使用頻度が低い
同学会ではこのほか、自己愛(ナルシシズム)とソーシャルメディアとの関係について調べた米インディアナ大学のSara Konrath氏らによる研究の結果も発表された。
この研究では、既報の4件の研究に参加した計1200人以上のデータを分析した。
これらの研究では、自己愛や共感力、情動知能(emotional intelligence)などを既存のツールで評価していたほか、FacebookやTwitter、Instagramといったソーシャルメディアをチェックする頻度や投稿する頻度などについても尋ねていた。
その結果、共感力が高い人では、他者に対する優しさや思いやりに乏しい人よりも、Twitterを使用する頻度が低かった。また、他者の感情を理解したり自分の感情をコントロールできない人は、それらができる人よりも、ソーシャルメディアを使用する頻度が高かった。
これらの結果を踏まえ、Konrath氏は「自分や他者の情動を受け入れにくい人は、対面よりもオンライン上の方が居心地良く感じるのかもしれない」と考察している。
その一方で、専門家の一人で米ミシガン大学コミュニケーション学教授のScott Campbell氏は「共感力とは何か、またその評価法については、専門家の間でも意見が分かれている」と指摘し、Konrath氏らの研究結果は慎重に解釈すべきだとの見解を示している。
また同氏は「われわれの研究では、メールやメッセージ、電話の使用時間が長い人ほど対面で交流する時間も長いことが分かっている。そのため、対面での交流は時間よりも質が重要だ」と話している。
(文=編集部)